「 書評・読書感想 」一覧

日本でいちばん面積の小さい都道府県は大阪府じゃなくて香川県

日本でいちばん狭い都道府県は香川県だということを、つい先日知った。

息子に買ってあげた本を何の気なしに読んでいたら、ヒントに「オリーブで有名」とか書かれていて、えっ大阪ってオリーブよりはたこ焼きでしょ? とか混乱した。しかし香川なら香川で、うどんでしょ?

私が地理トリビアみたいな本を読み漁っていたころは大阪府だったはずだが、どうも1988年から香川県ということになっていたらしい。なんと30年近く知らなかったのか! と、知識をアップデートしないことの恐ろしさを思い知ったのだった。

面積が逆転した理由については、こちらが詳しい(東京書籍の「東書KIDS」内)。

この結果,井島の香川県側と岡山県側の境界が不確定の ままであることが判明し,香川県の行政面積からこの井島を含む香川郡直島町の面積14.2km2を削 除(さくじょ)することとなったのです。
香川県

中途半端に引用したが、岡山県と香川県のそれぞれに属する自治体のある「井島」という島があり、漁業権の問題などから互いが主張する境界が食い違っている。面積を計算する基準の地図の精度を上げたときにこの自治体の面積を加えるのをやめたら、香川県の方が面積が小さくなっちゃった、ということらしい。これがなくても関西国際空港による埋め立てで大阪が逆転したという話もある。

まあしかし、両府県とも非常にキャラが立っているし、「最小」かどうかなんて、ネガティブにもポジティブにもどうでもよさそうではある。仮に大阪や香川の人と話すことになっても、まず面積の話はしないだろうし。

1988年当時「鎌倉幕府成立の年が変わりました」ぐらいのニュースになったのかどうかもまったく記憶にないが、とにもかくにも、息子にしたり顔で間違った知識を伝えてしまうという失態をかます前に気付けたのは、まあよかったということにしたい。学研さんありがとうございます。


「VRビジネスの衝撃」(新清士)感想

久しぶりに目にした「~の衝撃」本「VRビジネスの衝撃」(新清士)を読んだ。今のVRのブームがどんなものかと、注目を集めるVRベンチャー企業「Oculus」の出自について知ることができる。

VRビジネスの衝撃―「仮想世界」が巨大マネーを生む
(NHK出版新書 486)
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「VRは実際に体験しないとよくわからない」ということを本書は述べているが、実際そのとおりで、読んでいてVR体験そのものについてはピンと来ない。VRゴーグルは致命的にダサいデバイスにしか見えないが、そこで得られる体験がダサさを克服して普及するのだろうか? それを否定する要素も特にないが。

しかし本題はそこでなく、VRのビジネス利用の現状と可能性を語るところにあり、その点では新書のボリュームの中にしっかりと情報がまとめられていて興味深く読んだ。1992年生まれのOculisの創業者Palmer Luckeyと、1970年生まれの伝説のゲームプログラマー(と本書では紹介される)John Carmackのエピソードなどは、同年代を生きてきた者としてもとてもエキサイティングだった。

一方でよくわからなかったのが、VRを「プラットフォームだから普及する」としてセカンドライフと比較し、「セカンドライフはスマートフォンで仮想世界を提供するアプリの1つのようなものでした。しかし、オキュラスリフト、プレイステーションVR、HTCバイブといったヘッドマウントディスプレイは、見方を変えれば、アプリを販売するためのプラットフォームなのです」と話を展開しているところ。

本書が「プラットフォーム」をどう定義しているのかわからないが、レイヤーは違えどセカンドライフもプラットフォームであってはずで、だいぶ説明が足りないように思える。比較するならiPhone後のスマートフォンとか何かしらのデバイスでもよかったように思えるし、セカンドライフとは時代背景も違いすぎて、どうも比較の基準がよくわからない。おそらく、セカンドライフは今でも「来る来る言われてたけど来なかったもの」の代表格で、VRはそうじゃないという論旨なんだろなと理解した。

という点は引っかかっているが、そうした話は本書のほんの一部。VRの現状を手っ取り早く知るために、大いに参考になる本だった。家庭や個人の生活にどれくらいVRが入ってくるかはよくわからないと感じたが、まずは大規模な娯楽施設において従来よりも低コストで安定供給できる新しいエンターテインメントとしてのVRに、大きな可能性がありそうだ。