「 今日の表紙買い 」一覧

「甘々と稲妻」。またはSNS時代の「安らげるもの」について

いやー、もー、これはすごい。簡単に言えば「みんなでごはん作って食べる」だけのマンガが、こんなに心に刺さるものだとは。

甘々と稲妻(1)

「みんなでごはんを作って食べる」という、あるところには当たり前にある営みができないでいた人たちが、切実に欲して、集まって、ようやく手に入れたそれを大切に大切に味わう、という様子がただただ愛おしい。それだけで泣ける。

「君の名は。」でも似たようなことを感じたんだけど、「甘々と稲妻」を読んだら言語化できる気がしてきた。

結果的に完全なる善で、観客や読者が安心して心を寄せられる登場人物たち、互いを常に無条件に信頼していられる関係というのは、今の時代の人たちが最も求めているものなんじゃないかな。

SNS時代の私たちは、人とのつながりを常に求め(求めさせられ)ながら、一方で常にコミュニケーションに不安を感じてもいる。対話のすれ違いに傷ついたり気を揉んだり、無言の時間にすら意味を見出して凹んだり、時には「炎上」したり。私たちはまあ言ってみれば、常に関係を求めると同時に関係を恐れている。

そんな中で、「ライナスのブランケット」にように無条件で安らぎを得られる物、に代わってキャラクター間の関係というのは、今を生きる人たちにとって最高の憧れの対象なのかもしれない。


「からかい上手の高木さん」。ちょっと濃かった

田舎の風景、少年少女、「からかい」上手と…。これは私にジャストミートに違いないと思って買った。

ちょっと高木さんの「からかい」が濃すぎというか執拗というか…な感じで、どうなんだと思わないこともないが、そのぶん西片くんが果てしなくピュアで健気でいい奴なので、むしろ西片萌えだった。でもネタ的に、わが家の本棚に並べるのは2年ぐらい後としたい。

高木さんが「からかい上手」なのは、西片くんが天然の「からかわれ上手」だからなんだろうなあ、きっと。

著者である山本崇一朗氏のほかの作品「あしたは土曜日」「ふだつきのキョーコちゃん」も同じ舞台なんだそうで、こんど買ってみよう。



【今日の表紙買い】「夏が、僕らの世界を見ていた」。買うのに勇気がいる表紙

夏休みモノ(というジャンルが確立されているのか知らないが)、大好きです!

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でもこの本は、買うのをかなり躊躇した。結局買ったのは、ブログのネタになるし~と思った(そもそも「ちょっと気になる」レベルのマンガを買う踏ん切りが付かないことが多いので、このカテゴリーを設けたのだった)のと、見かけた書店に手書きPOPで「ノスタルジックで素敵なマンガ」と紹介されていたためなんだけど、このご時世にスクール水着ってノスタルジックというよりも……まあいいや。
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【今日の表紙買い】少女終末旅行(1)ゆるい。

往年の佐藤明機氏のようなテイストを感じて購入。

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「ほのぼのディストピア・ストーリー」って何よ、「ラブラブ連続殺人」もありかよ? と思わせるキャッチコピーが端的に表すように、文明崩壊後とおぼしき(特に説明はなかった)廃墟を装甲車「ケッテンクラート」に乗った2人の少女が旅するという設定。

背景世界の説明はないがケッテンクラートの解説は巻末にある。実在した装甲車だそうだ。ケッテンクラートって「げんしけん」に出てなかったっけ? という程度のミリタリー知識でなんかすいません、と思いながら読んだ。

昔、伊集院光氏のラジオで「ないないあるある」というコーナーがあった。「あり得ないシチュエーションでのあるある」を募集し、例えば「服の代わりに全身にピーナッツバターを塗っているときのあるある」というお題に「アリが寄ってきて困る」みたいなネタ(実際にこういうお題やネタがあったかは覚えていない)が集まってくるんだけど、それと似たノリを感じた。常識外れの前提を当然のように飲み込んだうえで、常識的な感覚は失わずに楽しむ。まあ、フィクションはどれもそうか。

冒頭に佐藤明機氏のテイストを感じたと書いたけど、ページを開くとそんなことはない。佐藤氏のような猛烈な背景の書き込みはなく、建物やメカ含め、かなりの割合の線が(全部ではない)フリーハンドで描かれているんじゃないかな。キャラクターの表情も終始ほやーんとしていていゆるい。最初の何ページかは物足りなさを感じたが、目が慣れれば、ゆるめもまたよし。


【今日の表紙買い】だがしかし(1) きな粉やアイスの汁にやられるヒロインを観察するマンガ

だがしかし。駄菓子菓子——。誰もが一度は口にしたことがあるだろう駄洒落(駄洒落か?)を堂々とタイトルに付けた胆力に押され、手にとってみた。

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ふーん、で一度棚に戻したが、「ベタな駄洒落にあえて挑んだ作品をふーんで済ませたヤツ」になってはイカンのではないか? と思って購入。うまい棒のアイツのオビが巻かれているのも気になった。

何となく面白い。つまらなくはない。でも、よくわからない。駄菓子の蘊蓄が飛び出すのがウリのひとつなんだろうけど、その蘊蓄がWikipediaレベルというか、どこかで見たことがある、実際ググれば出てくる内容なので、どうも盛り上がりに欠ける。

とはいえ、考えてみれば駄菓子の情報などすでにネットにネタが上がりまくっているうえに新ネタが次々生まれるわけでもないし、しかたがないところか。メーカーに取材しても今以上の情報はないのかもしれないし。

では何が引っかかって面白いんだろう? 駄菓子といえば小学生向けのイメージだが、15歳男子を主人公に、ちょっと年上設定のヒロインとのドキドキする関係、というところが本作のスパイスになっている。決して読んでいて「駄菓子を食べたくなる」感じではない。水着などがちょいちょい出てくるが、そういうストレートなお色気シーンは刺身のツマ程度の扱いでしかない。しかし、駄菓子を食べるシーンの描写には、フェティッシュな情熱がたっぷりと注ぎ込まれているのを感じる。

たぶん本作は、駄菓子そのものよりも「思春期の女の子が夢中になって駄菓子を食べる仕草」を観察するためのマンガなのだ。

考えてみれば「きな粉でブラウスの胸元を汚したり、口の周りをスナック菓子の粉だらけにしたりしながら微笑む年上のお姉さん」にお目にかかるなど少年時代を通り過ぎてしまった者にはまず無理で(そして小学生ぐらいにはその価値を理解できず……いや、大人になったら価値を感じるのかどうかもよくわからなくなってきたが)、まさにマンガでないとできないことなのではなかろうか。なんとニッチなところを突く作品なんだろう。


【今日の表紙買い】くまみこ(1) 思わぬピンク成分に戸惑う

カバーイラストに惹かれて、まさに表紙買い。主人公の女の子は可愛らしく、ちょっととぼけた表情の熊もいい。柔らかなゆらぎのある線が好みだ。

山奥での巫女の女の子と熊のハートフルストーリーかな? と思わせて、なんというか、表紙からはいっさい匂ってこないお色気成分? いやちょっと違うな、ピンク成分とでも言っとくのが適当な要素がこってりと盛り込まれていて驚いた。 続きを読む