「決定版フィンテック 金融革命の全貌」。デカく出た書名に違わぬ内容

「フィンテック」(FinTech:ファイナンス+テクノロジーの造語)の本を1冊ぐらい読んでおこうと、いちばん奥付の日付が新しいものを手にとった(1カ月ぐらい前に買った)。とても文章が読みやすく、内容もよく整理されていると感じた。

「ビットコイン」「ブロックチェーン」をはじめとした技術の概要から、社会に与えるインパクト、日本固有の事情や問題、われわれ一般市民がフィンテックの時代に向けて知るべきこと、身に付けるべきリテラシーなど、気になっていた点がきっちりと網羅されている。

用語解説や業界の将来展望だけに終始せず、市民の視点からもしっかりと語られているのがいいし、親切さを感じる。私はだらだら読んでしまったが、普通に読めば2時間程度で読み終えられるだろう。

本書で解説されていることを強引に圧縮すると、「FinTechで金融業界のあちこちにあった余剰なリソースが圧縮され、高精度・低コストのサービスが受けられる。ただし、ユーザーは今まで以上の金融と情報のリテラシーを身につけていないと、FinTechサービスの恩恵を受けられないし、危険性が高まることすらある」といったところだと理解した。

FinTech解説書としてはちょっと後発だと思うが、近い業界の人から「なんとなく気になる」というレベルの人まで、とりあえず本書を読んでおけば基礎の基礎レベルの知識は仕入れられるのではないかと思う。


自分なら問題行動の罰として置き去りはないわーと思った

北海道で「しつけ」として置き去りにされた男児が話題で、個人的にもそのサバイバルエピソードに興味津々だ。

今朝たまたまテレビをつけたら、その話題でスタジオの出演者数名が全員揃って「自分もそういうことされた経験はあるし、『しつけ』として一概にはダメと言えないと思うんです…」的なお茶を濁したコメントをしていて意外に思った。そこはドヤ顔で父親を否定しておいた方が受けがいいんじゃないのかな?

私の考えでは、そういう「しつけ」はナシである。報道されている通りの経緯だとすれば、問題行動に対して「しつけ」のためとして罰を与えたようだが、それが「しつけ」につながるとは考えられない。

そもそも親が力を使って子供をやっつけるようなことは、いかなる原因・目的であっても相手に「いつか仕返してやる」という気持ちを抱かせることになり、最終的にろくなことにならない。といった趣旨のことが河合隼雄先生の本に書かれていた。それは確かにそうだと思って、常に心に留めている。

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書かれていたのは確かこの「大人になることのむずかしさ」だったかな? 新装されて文庫になっていたとは知らなかった。

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「ネイティブ広告」について少し蒸し返してみる

先日はてな主催のネイティブ広告セミナーに参加する機会を得て、ちょっと気になったので、「ネイティブ広告」周辺の事情について振り返ってみる。

「ネイティブ広告」という言葉に対する、ネットにそこそこ関心がある人の印象は「なんかうさんくさいヤツ」ぐらいに留まるのではないだろうか。ネイティブ広告をめぐる議論は2014~2015年ぐらいにあって、おおむね「過去のもの」(今更議論する意味もないもの)という感もある。

当時「ステマ」というキーワードもまた再燃し、「ネイティブ広告=体のいいステマ」みたいな発言も多数見られた記憶がある。Googleトレンドで振り返ってみる。

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2012年1月から話題であり続ける「ステマ」

以下は「ネイティブ広告」と「ステマ」と、出してきた理由は後述するが「インバウンドマーケティング」の3キーワードについて、2011年1月~2016年5月の人気度の変動を出したGoogleトレンドのグラフ。

2012年1月に「ステマ」が爆発していてほかのグラフはほぼ見えなくなってしまっているが、「ステマ」の山を詳しく見ていくと、2012年1月のあと、2012年12月にもちょっとした山があり、2013年後半から2014年前半にかけても燻って、2015年3月にも一悶着あったという感じになっている。

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「VRビジネスの衝撃」(新清士)感想

久しぶりに目にした「~の衝撃」本「VRビジネスの衝撃」(新清士)を読んだ。今のVRのブームがどんなものかと、注目を集めるVRベンチャー企業「Oculus」の出自について知ることができる。

VRビジネスの衝撃―「仮想世界」が巨大マネーを生む
(NHK出版新書 486)
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「VRは実際に体験しないとよくわからない」ということを本書は述べているが、実際そのとおりで、読んでいてVR体験そのものについてはピンと来ない。VRゴーグルは致命的にダサいデバイスにしか見えないが、そこで得られる体験がダサさを克服して普及するのだろうか? それを否定する要素も特にないが。

しかし本題はそこでなく、VRのビジネス利用の現状と可能性を語るところにあり、その点では新書のボリュームの中にしっかりと情報がまとめられていて興味深く読んだ。1992年生まれのOculisの創業者Palmer Luckeyと、1970年生まれの伝説のゲームプログラマー(と本書では紹介される)John Carmackのエピソードなどは、同年代を生きてきた者としてもとてもエキサイティングだった。

一方でよくわからなかったのが、VRを「プラットフォームだから普及する」としてセカンドライフと比較し、「セカンドライフはスマートフォンで仮想世界を提供するアプリの1つのようなものでした。しかし、オキュラスリフト、プレイステーションVR、HTCバイブといったヘッドマウントディスプレイは、見方を変えれば、アプリを販売するためのプラットフォームなのです」と話を展開しているところ。

本書が「プラットフォーム」をどう定義しているのかわからないが、レイヤーは違えどセカンドライフもプラットフォームであってはずで、だいぶ説明が足りないように思える。比較するならiPhone後のスマートフォンとか何かしらのデバイスでもよかったように思えるし、セカンドライフとは時代背景も違いすぎて、どうも比較の基準がよくわからない。おそらく、セカンドライフは今でも「来る来る言われてたけど来なかったもの」の代表格で、VRはそうじゃないという論旨なんだろなと理解した。

という点は引っかかっているが、そうした話は本書のほんの一部。VRの現状を手っ取り早く知るために、大いに参考になる本だった。家庭や個人の生活にどれくらいVRが入ってくるかはよくわからないと感じたが、まずは大規模な娯楽施設において従来よりも低コストで安定供給できる新しいエンターテインメントとしてのVRに、大きな可能性がありそうだ。


台湾の日本旅行誌「飛鳥旅遊誌」に以前に撮った小樽総合博物館の写真が掲載

台湾の旅行会社「飛鳥國際旅行者」が刊行している日本旅行の雑誌(?)「飛鳥旅遊誌」に、Flickrで共有していた小樽総合博物館の写真を使っていただいた。

▼雑誌のサイト
ASUKA TRAVEL 飛鳥國際旅行社 | 幸.福.的.感.覺.在.飛.鳥 |

Flickrは最近めったにログインもしないでいたんだけど、たまたま送られてきた使用依頼のメッセージをタイミングよく見ることができ、できれば紙面のPDFを送ってほしいと依頼したら、丁寧にも送っていただきました。ありがとうございました。日本旅行の雑誌がこんなふうに成り立っているなんてすごい。

5月号の特集は北海道の鉄道で、北海道の2大鉄道博物施設として、三笠鉄道村(こっちは行ったことがない)と小樽市総合博物館が紹介されている。掲載ページはこんな感じ(p.99らしい)。

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三笠鉄道村へようこそ 北海道の大自然の中で鉄道を体験しよう! -三笠市幌内町
小樽市 :小樽市総合博物館

妻が小樽出身なので小樽は何度も行っているし博物館も何度か行った。いい時代に積み重ねられた文化の香りが街中から漂う、とてもいい町だと思う。妻から聞いた話では岩井俊二監督の映画「Love Letter」のヒットの影響もあって、台湾から(台湾に限らないかもしれないが)の旅行者は多いのだという。だいぶ前に1回観たきりだけど、いい映画だった。

検索してみると、いろいろと逸話もありそうだ。こんな話とか。

台湾の監督が小樽ロケ! | スタッフブログ | 北の映像ミュージアム

今月末にIngressのアノマリーがまた台湾であった気がするので、行かれる方はぜひ書店で見てきてほしいです。

▼以前に書いた記事
「小樽市総合博物館」は展示されている列車の数が異常 :Heartlogic[旧館]


原岡海岸(千葉・富浦)で富士山に沈む夕日を撮影

東京ドイツ村に行ったあとの宿を、内房線の富浦駅周辺に取っていた。直前の予約サイトで「千葉の南あたり」を探したらいい条件の宿がここにあった、というだけで深い意味はなく、東京ドイツ村からはちと遠すぎた。

行く前に調べていた感じでは駅周辺にそれなりに飲食店があったのだが、実際に行ってみるとほとんどが営業しておらず、なるほど観光地でもない田舎では連休になると店も休むのだ、という知見を得た。いや当日は笑いごとではなかった。コンビニもなかったし。

といった程度の雑な準備で富浦に行ったのだが、最寄りの原岡海岸がとてもいいところで、少々のトラブルは行って来いにしてたっぷりお釣りがくる収穫だった。

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これは海岸に出た瞬間に富士山の影に太陽が隠れてしまって、カメラが間に合いませんでしたという瞬間……から10分ぐらい後かな?

この右側に見えている桟橋が原岡海岸名物で、撮影スポットとして有名らしい。インスタでもいろいろ写真が出てくる。

原岡海岸 • Instagram写真と動画

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古くていい感じの桟橋がそのままになっていてで、実にフォトジェニックだ。暇で暇で仕方なくなったら、ここに貼り付いて撮影してみたい。

翌朝もカメラを持って行ってみたのだが、ガスが濃くて富士山は見えなかった。残念。

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東京近郊の芝桜を求めて東京ドイツ村(千葉・袖ヶ浦)へ

事の起こりは「芝桜が見たい」だった。調べてみると東京の近くで芝桜が見られるところは意外と少ない。土地も必要だし手入れもかなり手間がかかるそうなので、なかなか難しいんでしょう。

もっとも有名なのは秩父の羊山公園だろうが、この時期の休日朝の西武線下りはダメだ。男親が子連れで出かけるときに変なハラスメントを受けることは少ないが、子供の前でダメな大人を見なければいけないときほど嫌なことはない。

この時期の西武線には何度か乗ったことがあるが、山行きの格好で列に割り込む、ボックスシートを2、3人で占領してシートに脚を投げ出し大声でダベる等々のマナー最悪の中高年グループを毎度目にする。ここで本題と関係のない愚痴を書いてしまうぐらいダメだ。

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超重量級の犯罪小説。宮部みゆき「模倣犯」感想

何となく宮部みゆきの有名な未読作品を読みたくなって手にとった。いやはや、おそろしく重厚な作品だった。物理的にもそうだし(文庫版は全5巻。電子書籍版なし)、内容の面でもクソ重い。

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テーマの1つとして「ある日突然犯罪によって破壊される日常」といったものがあり、演出として破壊される直前までの登場人物の生い立ちや日々の暮らしなどを丁寧に描写している。物理的な重厚さの理由には、この仔細な描写によるところも大いにある。

連続殺人事件を扱った小説である、という点ではミステリー小説のようであるが、犯人自体は早々に明らかにされる。3部構成の第2部以降は、犯罪者と周辺の登場人物たち、そして警察の動きを追いながら、非常に特殊な犯人と、被害者と、警察とあとジャーナリスト(?)との対決を描いていく。後半では、犯人に振り回されながら徐々に真実の欠片を掴んでいく描写が分厚い。

重厚なわりに、最後のカタルシスがうすい小説だ。それが悪いとも一概には言えないと思うものの、長い小説を読み終えた最後に、疲れ(と出費)に見合う何かこうパッとしたものが欲しかったなあ娯楽小説ならば、というのが読後の正直な感想で、まあある意味パッとしているといえばいるのかもしれないが、でもなあ、そういえば前に自分内で宮部みゆきブームが終了したときもこんな感覚だったなあ、と思い出した。

何というか、ちょっと味気ない感じがする。巧すぎて、旨みがちょっと足りない、みたいな。
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「伊集院光とらじおと」は「Yahoo! 知恵袋の協賛」が一番すごいと思う

「大沢悠里のゆうゆうワイドの後番組は伊集院」「マジか!?」となってから約3カ月。日曜お昼の番組を降りて、いつか帰ってきて平日朝~昼ワイドをやるようになるかなあ…と思ってからは何年だっけ? TBSラジオで朝ワイド「伊集院光とらじおと」が始まった。実に感慨深い。

伊集院光とらじおと | TBSラジオ AM954 + FM90.5~聞けば、見えてくる~

初日をまんまと聴き逃してしまったらアシスタントの安田美香アナが洋服を着てくるのを忘れるという超ド級の珍プレーがあったそうで非常に悔やまれる。これまでも深夜ラジオの発言をそこらへんのブログに書き起こされていたが、今「伊集院光とらじおと」で検索すると、早速いろいろと出てきて賑やかだ。

さておき、この番組で最も驚き、感心し、ホントこの人すごいなと思ったのは、以下のインタビューで語られている「企画会議に営業担当も同席」という話。

伊集院さん もう一つ、今回ワクワクしているのは、番組内のコーナーを考える企画会議に「TBSラジオの営業の人も出てくださいよ」ってお願いしたんです。
キーパーソンインタビュー:伊集院光さん「ラジオの動かす力は圧倒的」 初の朝番組に熱弁 – 毎日新聞

なるほど「伊集院光とらじおと」のコーナーには、「さかい保健整骨院 赤坂分室」(さかい保健整骨院は深夜のJUNKのスポンサーも一時期やっていたはず)とか、「SBIいきいき少短 presents 伊集院光とらじおとダイエットと」(長い)など、スポンサー名を関したものがずらりと並ぶ。

中でも驚いたのが「Yahoo!知恵袋 俺の5つ星」。深夜の番組には「Yahoo!クソ袋」(Yahoo!知恵袋に寄せられたクソ質問を紹介する、という趣旨)というコーナーがあって、確かヤフージャパンの人と会ったときにちょっと気まずかった(ヤフージャパンの人は別に嫌がってはいなかったという話だった、はず)みたいなトークがされていたときもあったような気がしたけども、昼の番組ではスポンサーになっているというナイスな状況に、ヤフージャパンさんすばらしいとしか言いようがない。


国立科学博物館「恐竜博2016」の目玉「スピノサウルス」とは何者か?

上野の国立科学博物館で行われている「恐竜博2016」に、妻(わりと恐竜好き)と息子(子供なので恐竜好き)と行ってきた。

私自身は恐竜に人並み程度の関心しかないのだが、今回のキャッチコピーに「スピノサウルス対ティラノサウルス」的なものがあり、スピノサウルスという聞いたことのない新人恐竜が大御所とがっぷり四つみたいなマッチング(?)に少々混乱した。

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戦火で焼失するも、2013年に新しい化石が発見

会場の情報やらカタログの情報やらで得た情報によると、スピノサウルスは1915年に初めて発見された恐竜だが、当時ドイツにあった唯一の化石が第二次大戦で焼失してしまい、長いこと幻の存在になっていたらしい。

それが、2013年にモロッコで新しい化石が発見され、2014年に、これまでにない水中で生活する恐竜(骨の構造が海棲動物に似ているという)として発表されたそうだ。恐竜はどんどん新種や新説が発表されていて子供の頃学んだ知識からだいぶ変わっているとは聞いていたが、なるほど新しい。

カタログをよく読むと「スピノサウルスとティラノサウルスは棲む地域も登場年代も異なるため実際には対決していないと考えられる」と書かれていて、ちょっとした落ちもついていた。

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こちらは「グリンダドロメウス」というそうだ。羽毛を持つ小型恐竜らしい。

▼公式サイトは
特別展「恐竜博2016」(2016年3月8日(火)~6月12日(日))-国立科学博物館-