「 ネットよもやま話 」一覧

マストドン(Mastodon)まだやってない

マストドンを始める元気がなくて、何もしていない(いくつかアカウントは取った)。

昔、切込隊長ブログ(当時)だったかな? 日本のインターネットのコアユーザーなんて数十万人の前半ぐらいでそいつらがあちこちのサービスをぐるぐるしてるだけだみたいなことが書かれていて、まーそうだろうなーと思ったものだけど、日本のMastodonの各インスタンスのユーザー数など見るに、当時からさほどコアユーザーの規模は変わっていないのかなと思われる。

日本のマストドンインスタンスの一覧

十数年前と比べれば爆発的にインターネットは普及したけれど、どうやらその分はみんな「友達がやってるから」とか「有名人がやってるから」とか「機能がついてたから」とか「仕事でしかたなく」とかのユーザーなのだ。その世界は今でもわりとスッパリ別れるのかもしれない。

なるほどMastodonは、かつての大手商用BBSに対する草の根BBSのような位置づけて定着していくような気がしてきた。今のところ中の空気感がさっぱりわからないのだけど、きっと元気とコミュニケーション欲が余っていたら飛びついていただろう。今はとにかく休みたい。

このブームで名古屋のデザイン会社「マストドン」は急速に認知度を上げたのではないだろうか。私は3回ぐらい打ち間違えてアクセスした。


DeNAの第三者委員会調査報告書を読んでの雑感

いわゆるWelq問題、DeNAキュレーションメディア問題に対する第三者調査報告書の要約版を読んだ(要約していない版も拾い読みした)ので、思ったことをいくつか書き残しておきたい。ちなみに要約版で34ページ、要約していない版は306ページある。

第三者委員会調査報告書(要約版)公表のお知らせ(証券コード:2432 | IR 書類ナビゲータ)
第三者委員会調査報告書の全文開示公表のお知らせ(証券コード:2432 | IR 書類ナビゲータ)

「短期間で収益を上げる事業」としてのメディア事業とは

DeNAが「キュレーション事業」を始めたのは、比較的短期間で収益を上げる事業を求めてだという(要約版P.4)。のっけからガツンとくるレポートだ。Webメディアはなかなか儲からないというのが自分なんかの感覚だが、コンテンツをタダ同然で調達しSEOを徹底すれば、短期間で収益を上げらえる事業になるのだなあというのに、素朴に驚く。

他人が作ったコンテンツを持ってきて適当に混ぜ合わせて自分のところに置きデカイ声で宣伝するという、誰の役に立つわけでもないコンテンツ連動広告の横取り行為を事業だと考えられる発想力がないと、そういうビジネスをやろうと考え付かないのではないか? などと底意地の悪い私としては思うのだが、特段メディア事業の経験も思い入れもなく、また、はてブやらTumblrやらNAVERまとめやらといったサービスの存在を考えれば、その発展形としてソレというのも、まあ自然に考えられるものだろうか。

「キュレーション」という言葉の意味はどこで決定的に変わったか?

私の記憶が確かなら、ネット上の情報のレコメンデーションを「キュレーション」と呼びだしたのは佐々木俊尚さんで、当初の「キュレーション」はオリジナルのコンテンツにトラフィックを流すことで、それなりに全体の共存関係のようなものが担保されていたと思う。

それがいつのまにか、コンテンツを自分のサイトに持ってきて広告で稼いだるでーという行為が「キュレーション」になっていたのだろうか? これまた私の記憶が確かなら、NAVERまとめあたりからだろうか(元サイトへのリンクはあっても小さかったり、なかったりした)。

報告書のP.35では、キュレーションの定義を“「キュレーション」とは、一般的に、インターネット上のコンテンツを特定のテーマや切り口で読みやすくまとめ、編集・共有・公開することをいう”としている。この定義では、オリジナルサイトとの関係について明確にされておらず、第三者委員会のその点の認識がよくわからない。

それにしても、MERYの画像の扱いについて(P.153)、DeNAは根本的な見直しは指示せず何とか免責を主張できるよう剽窃元サーバーの直リンクにしろと言い、ペロリ側は相手サーバーへの負担を考え自社サーバーに持ってくることにした、というのはどっちも悪い冗談とでも思っておかないと恐ろしい。DeNAは何とか法的責任を回避しようとし、ペロリはそもそも不法行為という認識がなかったということか。

本事件を受け、プロバイダ責任制限法の見直しは行われるだろうか。「プラットフォーム」を標榜しつつ実質的に自社メディアとして運営することで自社の責任範囲が縮小されるというのは、さすがにイカン抜け穴だろう。

安い仕事は受けるヤツが悪い

クラウドライターへの報酬の安さについて、こういう言及があった(P.273)

しかし、クラウドソーシング会社において募集されている記事執筆業務の金額的条件には幅があること、DeNAは、クラウドソーシング会社を通じてクラウド執筆ライターを明示していること、クラウド執筆ライター等はクラウドソーシング会社が募集する業務の中から、自らの意思で業務を選んで受注していたことからすれば、(中略)不当に安かったとは考えられない。

趣旨としては「単純に『不当に安い』と糾弾はできないが、不適切な記事を産む背景になったことは否定できない」といった形でたぶんに批判的ではあるが、一方で「安くても受けるヤツがいるから成立してるんだろ」というニュアンスにも取れる。「書く」以外に何もないライター業は辛い。

本報告書で明らかになったDeNAキュレーション事業の展開やノウハウについて、諸々の問題点以外はすばらしく参考になる(問題点も反面教師として参考になる)という意見も見た。が、コンテンツの盗用など不法行為をせず、編集体制を整えてコンテンツの質を保証し、スタッフにもまともな報酬を支払って、とすべての穴をふさいだうえでのメディア事業が、どの程度うまみのあるものになれるのか疑問ではある。いやまあ疑問ではあるとか他人事みたいなこと言っていられる立場でもない気もするが。


「決定版フィンテック 金融革命の全貌」。デカく出た書名に違わぬ内容

「フィンテック」(FinTech:ファイナンス+テクノロジーの造語)の本を1冊ぐらい読んでおこうと、いちばん奥付の日付が新しいものを手にとった(1カ月ぐらい前に買った)。とても文章が読みやすく、内容もよく整理されていると感じた。

「ビットコイン」「ブロックチェーン」をはじめとした技術の概要から、社会に与えるインパクト、日本固有の事情や問題、われわれ一般市民がフィンテックの時代に向けて知るべきこと、身に付けるべきリテラシーなど、気になっていた点がきっちりと網羅されている。

用語解説や業界の将来展望だけに終始せず、市民の視点からもしっかりと語られているのがいいし、親切さを感じる。私はだらだら読んでしまったが、普通に読めば2時間程度で読み終えられるだろう。

本書で解説されていることを強引に圧縮すると、「FinTechで金融業界のあちこちにあった余剰なリソースが圧縮され、高精度・低コストのサービスが受けられる。ただし、ユーザーは今まで以上の金融と情報のリテラシーを身につけていないと、FinTechサービスの恩恵を受けられないし、危険性が高まることすらある」といったところだと理解した。

FinTech解説書としてはちょっと後発だと思うが、近い業界の人から「なんとなく気になる」というレベルの人まで、とりあえず本書を読んでおけば基礎の基礎レベルの知識は仕入れられるのではないかと思う。


「ネイティブ広告」について少し蒸し返してみる

先日はてな主催のネイティブ広告セミナーに参加する機会を得て、ちょっと気になったので、「ネイティブ広告」周辺の事情について振り返ってみる。

「ネイティブ広告」という言葉に対する、ネットにそこそこ関心がある人の印象は「なんかうさんくさいヤツ」ぐらいに留まるのではないだろうか。ネイティブ広告をめぐる議論は2014~2015年ぐらいにあって、おおむね「過去のもの」(今更議論する意味もないもの)という感もある。

当時「ステマ」というキーワードもまた再燃し、「ネイティブ広告=体のいいステマ」みたいな発言も多数見られた記憶がある。Googleトレンドで振り返ってみる。

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2012年1月から話題であり続ける「ステマ」

以下は「ネイティブ広告」と「ステマ」と、出してきた理由は後述するが「インバウンドマーケティング」の3キーワードについて、2011年1月~2016年5月の人気度の変動を出したGoogleトレンドのグラフ。

2012年1月に「ステマ」が爆発していてほかのグラフはほぼ見えなくなってしまっているが、「ステマ」の山を詳しく見ていくと、2012年1月のあと、2012年12月にもちょっとした山があり、2013年後半から2014年前半にかけても燻って、2015年3月にも一悶着あったという感じになっている。

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「VRビジネスの衝撃」(新清士)感想

久しぶりに目にした「~の衝撃」本「VRビジネスの衝撃」(新清士)を読んだ。今のVRのブームがどんなものかと、注目を集めるVRベンチャー企業「Oculus」の出自について知ることができる。

VRビジネスの衝撃―「仮想世界」が巨大マネーを生む
(NHK出版新書 486)
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「VRは実際に体験しないとよくわからない」ということを本書は述べているが、実際そのとおりで、読んでいてVR体験そのものについてはピンと来ない。VRゴーグルは致命的にダサいデバイスにしか見えないが、そこで得られる体験がダサさを克服して普及するのだろうか? それを否定する要素も特にないが。

しかし本題はそこでなく、VRのビジネス利用の現状と可能性を語るところにあり、その点では新書のボリュームの中にしっかりと情報がまとめられていて興味深く読んだ。1992年生まれのOculisの創業者Palmer Luckeyと、1970年生まれの伝説のゲームプログラマー(と本書では紹介される)John Carmackのエピソードなどは、同年代を生きてきた者としてもとてもエキサイティングだった。

一方でよくわからなかったのが、VRを「プラットフォームだから普及する」としてセカンドライフと比較し、「セカンドライフはスマートフォンで仮想世界を提供するアプリの1つのようなものでした。しかし、オキュラスリフト、プレイステーションVR、HTCバイブといったヘッドマウントディスプレイは、見方を変えれば、アプリを販売するためのプラットフォームなのです」と話を展開しているところ。

本書が「プラットフォーム」をどう定義しているのかわからないが、レイヤーは違えどセカンドライフもプラットフォームであってはずで、だいぶ説明が足りないように思える。比較するならiPhone後のスマートフォンとか何かしらのデバイスでもよかったように思えるし、セカンドライフとは時代背景も違いすぎて、どうも比較の基準がよくわからない。おそらく、セカンドライフは今でも「来る来る言われてたけど来なかったもの」の代表格で、VRはそうじゃないという論旨なんだろなと理解した。

という点は引っかかっているが、そうした話は本書のほんの一部。VRの現状を手っ取り早く知るために、大いに参考になる本だった。家庭や個人の生活にどれくらいVRが入ってくるかはよくわからないと感じたが、まずは大規模な娯楽施設において従来よりも低コストで安定供給できる新しいエンターテインメントとしてのVRに、大きな可能性がありそうだ。


「伊集院光とらじおと」は「Yahoo! 知恵袋の協賛」が一番すごいと思う

「大沢悠里のゆうゆうワイドの後番組は伊集院」「マジか!?」となってから約3カ月。日曜お昼の番組を降りて、いつか帰ってきて平日朝~昼ワイドをやるようになるかなあ…と思ってからは何年だっけ? TBSラジオで朝ワイド「伊集院光とらじおと」が始まった。実に感慨深い。

伊集院光とらじおと | TBSラジオ AM954 + FM90.5~聞けば、見えてくる~

初日をまんまと聴き逃してしまったらアシスタントの安田美香アナが洋服を着てくるのを忘れるという超ド級の珍プレーがあったそうで非常に悔やまれる。これまでも深夜ラジオの発言をそこらへんのブログに書き起こされていたが、今「伊集院光とらじおと」で検索すると、早速いろいろと出てきて賑やかだ。

さておき、この番組で最も驚き、感心し、ホントこの人すごいなと思ったのは、以下のインタビューで語られている「企画会議に営業担当も同席」という話。

伊集院さん もう一つ、今回ワクワクしているのは、番組内のコーナーを考える企画会議に「TBSラジオの営業の人も出てくださいよ」ってお願いしたんです。
キーパーソンインタビュー:伊集院光さん「ラジオの動かす力は圧倒的」 初の朝番組に熱弁 – 毎日新聞

なるほど「伊集院光とらじおと」のコーナーには、「さかい保健整骨院 赤坂分室」(さかい保健整骨院は深夜のJUNKのスポンサーも一時期やっていたはず)とか、「SBIいきいき少短 presents 伊集院光とらじおとダイエットと」(長い)など、スポンサー名を関したものがずらりと並ぶ。

中でも驚いたのが「Yahoo!知恵袋 俺の5つ星」。深夜の番組には「Yahoo!クソ袋」(Yahoo!知恵袋に寄せられたクソ質問を紹介する、という趣旨)というコーナーがあって、確かヤフージャパンの人と会ったときにちょっと気まずかった(ヤフージャパンの人は別に嫌がってはいなかったという話だった、はず)みたいなトークがされていたときもあったような気がしたけども、昼の番組ではスポンサーになっているというナイスな状況に、ヤフージャパンさんすばらしいとしか言いようがない。


「SEOはリアルじゃない。800枚撮り直したセルフィーはリアル」という価値観

単なる個人的な感想だが、2016年に入って、若い世代とのジェネレーションギャップに驚く出来事が急に増えた気がする。悪いことではないと思っているけども。

で、こちらの記事。

Googleは使わない、SEO対策しているから——Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」 | TechCrunch Japan
20160303-01-instagram-genking

GENKING氏はテレビで何度か見たことがある。ろくにテレビを見ていないが、何となく、出演者を積極的にInstagramから引っ張ってくる番組と、Instagramなんて知りませんという感じの番組がある気がする。
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ダニエル・ゴールマン「フォーカス」。人が努力に裏切られないため必要なこととは?

EQ こころの知能指数」「SQ 生きかたの知能指数」の著者であるダニエル・ゴールマンの新刊「フォーカス」が届いたので、さっそく読んだ。何やら過去の著書と違ってキャッチコピーが俗っぽく、どこかの自己啓発書のようだ。

心理学や脳神経科学の専門家であり、「EQ」で情動について、「SQ」で社会的知性について書き他者との調和、社会の中での人のありかたについて論じてきたゴールマン氏は、本書では「集中」や「共感」について論じている。
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イングレスよもやま話

久しぶりにIngressについて書こう。あえて後ろ向きな言い方をすると、私のエージェント生活の大半は、敗北感と共にあった。

Ingressはプレイのために「外を歩き回る時間」が必要だ。最近のゲームには「行動力」にあたるパラメータを設けてプレイできる量を制限し、それを増やすアイテムに課金したりしているものもあるが、Ingressの場合は超シンプルに「行動力=プレイヤーの体力や可処分時間」であり、基本的には行動力のあるプレイヤーほど「強い」。

仕事やら何やらで思うように時間が取れない私は、たいして強いプレイヤーではなかった。毎日夕方から未明まで行動し続けたり、連日吞み会やいわゆる「飯テロ」をするプレイヤーのログを見て、これくらいの歳になって(Ingressのボリュームゾーンは30~40代である。私調べ)趣味に時間をたっぷり使えるって勝ち組だよなーと思ったりした。
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バラバシの「バースト!」と優先順位の話

バースト!」は「新ネットワーク思考」の著者であるアルバート・ラズロ・バラバシ氏の2冊目の著書であり、2012年に出ていた本。だが当時、Webの信頼する読み手の方々が口を揃えて「よくわからない」「難しい」と書いていたのを見て、ちょっと後回し…と敬遠し、それきりになってしまっていた。

バースト!  人間行動を支配するパターン

しかし、私の中ではバラバシ氏と共に近年もっとも影響を受けた「SQ」の著者であるダニエル・ゴールマン氏の「フォーカス」の翻訳が今度出ると知り、これは「バースト!」を先に読んでおかねば! と読み始めた。

「フォーカス」と「バースト!」。おそらくは両者とも「選択と集中」的な人間の行動の仕組みや法則を探ることがテーマだろう。社会ネットワークや脳神経社会学をテーマにしてきた2人の著者がそれぞれ「人間の行動」をテーマにしていることには重要な意味があるのだろうと感じた。

私が一読して解釈したレベルでは、「バースト!」はこれといって難しいことを言っていない。ひとことで言えば、人間個人や共同体、はたまた動物などの行動には、長い停滞期と、ときどき来る活性期(バースト)がある、といったことだ。
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