干渉せず24時間ユーザーを見つめるウェアラブルのあり方とは? 「MISFIT SHINE 2」説明会

この時期の、都営地下鉄の駅が好きだ。本格的な冬になる手前のほどよい緊張感のある冷気が頭を冷やし、オフピーク時間帯の閑散とした薄暗い構内に、カーンともキーンとも違う、何とも表現の難しい無機質な音が定期的に響く。

無関心で満たされていながら、頼れる緻密なシステムの存在を感じさせるあの空間にいると、ものすごく落ち着く。

昨今のウェアラブルデバイスは「自分好き」のためのものだと思う。もちろん悪いことではないが、自分好きでない私にはどうも乗れない。

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活動記録の類はいろいろ試してみたけれど、「自分をかまう」という発想がなかなか出ない私にとっては、データを取っても活用しないので意味がなく、どうにも過干渉に感じる。

それに、連中はやいのやいのとデータを見せてくるだけで、困ったときに頼れるわけではない。「この睡眠時間だとそろそろ壊れるのでは?」というときにアプリのログデータを根拠にすればすんなりと休暇を取れるだろうか? そんなわけない。

結局は自分で何とかしないといけないのなら放っといてくれよ、という気分になってしまうのである。こうして書いてみると、我ながらどうしようもないな。

そんなことを考えながらも、2016年1月の発売が予定されているウェアラブルデバイス「MISFIT SHINE 2」のブロガー向け説明会に参加してきた。何のかんの言っても新しいものが気になるのと、ウェアラブルデバイスのメーカーは現在どんなことを考えて製品やサービスを提供しているのか、聞いてみたかったためだ。自分が大好きで自分のデータをチェックしまくりたい人向けなのか、そうでない何かがあるのか?

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それにそもそも、ウェアラブルなのにMISFIT(合わない)という名前なのは、なんでなのか?

機械に気を使わせず「Always On」であるための質実剛健な設計

アイファイジャパンの田中社長(MISFITと同じ株主を持つ関係から兼任することになったとのこと)からMISFIT社と製品の説明が行われた。いわく、「MISFIT」とは会社を設立しようとしたその日にスティーブ・ジョブズの訃報があり、Appleの有名なCM「Think Different」のナレーションの一節から取った「社会不適合者」の意味であるとのこと。

意外と中2病的だ。「中2病的だ」で片付けるのも安易だが。

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MISFITは、コカ・コーラ、スワロフスキー、SPEEDOといった世界的なブランドと連携しつつ、時計やファッションアイテムを扱うFOSSIL社の傘下に加わり(FOSSILは高級というよりはカジュアルブランドであるらしい)、ファッションアイテムとしてのブランディングに成功している。また一面では、なかなかに質実剛健なところもある。

研究開発拠点をベトナムに持ち(人件費を考慮してのことだそうだ。「睡眠を専門に研究するスタッフだけで15人」とのこと)、世界展開は中国やロシアでまず成功している。ウェアラブルデバイス企業の多くはアメリカで全体の半分以上を売り上げているが、MISFITは違う、との説明があった。

製品は後発ながら、先行製品を研究し尽くしたうえで作られている。サニー・ヴー氏は最初の製品「MISFIT SHINE」の開発にあたり、競合製品の「読める限りの言語のAmazonレビュー」を読み、従来の製品には3つの問題があると考えた。いわく、

・充電の不安がある
・常に身に付けているには防水が心配
・デザインがださい

MISFITの製品はこれらをクリアしている。3年前(2012年)に発売されたMISFIT SHINEは、内蔵のボタン電池で最大4カ月の駆動が可能で、毎日の充電を意識する必要がない。これが「MISFIT SHINE 2」では最大6カ月に伸びている。「バッテリーを○カ月持たせる」という目標から部品の設計に入るのだと説明があった。

防水に関しては50m防水とのことで、その水深はもちろん、泳ぐ場合などの動きにも耐える設計であるとのこと。JISの等級でいえば最上級の8なのかとか、温泉で使う場合温度や泉質について気にする必要はないのかとか聞いてみればよかった、と今になって思った。デザインに関してももちろん、力が入っている。

印象としてユーザーの経験価値を重視したマーケティングがされ、付加価値を高める努力も高いレベルで行われていると感じられ、好感が持てる。「化石(FOSSIL)グループの社会不適合者(MISFIT)」というのもおもしろい。ニュアンスとしては「Windows全盛期にMacを使う俺ら」的な社会不適合ぶり、ということのようだが。

より総合的な人間のケアも視野に「まずは24時間身に付けてほしい」

ここで話は冒頭の地下鉄の駅に戻る。MISFIT SHINE/SHINE 2はやはり自分好きのためのデバイスなのだろうか? 活動量計として能動的に動く人のログを取るのはわかる。では能動的でない動きのログについてはどう考えられているのか。例えば、うつ病の人には独特の動き(のなさ)があると聞くが、そうした動きを検知することが研究されていたりするのだろうか? と質問してみた。

田中氏の回答は、次のようなものだった(本来の意図どおりに捉えられているかは、ちょっと自信がない)。現状のバッテリーでは難しいが、例えば心臓の動きを記録する技術の研究などにも投資している。スポーツや睡眠だけでなく、より多様な動きを捉えることは視野に入れている。

そのためにも、まずは「Always On」。24時間違和感なく身に付けられる製品を作り、ユーザーに24時間身に付ける習慣を作ってもらうことを目指している、とのことだ。

なるほど。現状の製品は活動量計+時計+ボタンといった感じだが、SHINE 3なり4なり5なりになると、「活動量」以外のデータも取れるようになり、ワタシは明らかに異常な時間オフィスにいるし体調も崩している、といったこととが医学的にも意味のあるデータとして取れるようになる可能性もありそうだ。将来的には、ある種の健康セーフティネット的なシステムが確立できるかもしれない。

おそらく製品・サービスの進化のためには大量のデータが必要で、ユーザーとしては「Always On」の習慣付けをしながらデータを貯めていく、というのが正しい姿勢となるのだろう。

電池による駆動時間の伸びなどは、ユーザーに手間をかけさせたり気を使わせたりせず「過干渉」なアイテムでなくするための努力と捉えられる。腕時計状のスタイルしか知らなかったが、MISFIT SHINE/SHINE 2のパッケージには服の襟などに付けるためのクリップも付属しており、そのほかにもネックレスなど、何らかの方法で身に付ければいいらしい。もちろん、どう身に付けても正確に記録できますということだ。あまり腕時計になじみがないので、いろいろな身に付け方があるのは非常に魅力的に感じた。

製品、サービスの意味付けを理解したことと、腕以外の身に付け方もあるというところで、個人的にはMISFITを試さない理由はなくなった。

今回のブロガーイベントでは現行製品のMISFIT SHINEを試用できるということでいただいて来たのだが……、どうもうまく電池が入らなくて動かせない。とりあえず問い合わせ中なので、試用レポートはまたいずれ。

電池が入りませんでしたの図を貼っておこう。ハードウェア的な初期不良だと思われるのだが、よくわからない。

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世界とつながり、コントロールするためのデバイス

プレゼンテーションでは、「Wearables 1.0/2.0」という言葉も使われた。いわく、「ウェアラブル1.0」はただ記録するだけのもので、「ウェアラブル2.0」では何かを発信したり、世の中とつながり、コントロールしたりできるもの。

MISFIT SHINE 2の新機能として、本体をボタンとしてIFTTTの動作のコントロールなどができるようになっており、バイブレーション機能により操作に対してフィードバックできるようになったという。長いバッテリー駆動時間を確保しつつこの機能を搭載するためには、大変な苦労があったようだ。

具体的に何ができるのかをよく理解できていないが、素人の印象としては、ちょっとしたオマケ機能のようにも思える。しかし、デバイスがユーザーのどのようなデータを捉えるかによっては、画期的な使い方も生まれるのだろう。あまり具体的なイメージが湧かないが、機会があったら試してみたい。