Googleの位置ゲー「イングレス」が、見慣れた世界に別の意味付けをする

先週iOS版アプリが出たと聞いて、Googleの「イングレス」を始めました。

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イングレスは、簡単に説明すると、現実世界の地図上で、緑と青の2陣営に分かれて「ポータル」と呼ばれる拠点を取ったり取られたりして、ポータルを結ぶ三角形の陣地を増やしていくゲームです。いわゆるひとつの位置ゲーであり、ある意味ではARともいえる拡張現実要素もあり、うまい具合に三角形を作り防御する方法を考えていくパズルゲームでもあります。

GoogleというとシンプルであっさりとしたUIのイメージが強いですが、イングレスは近未来SF的な世界観で濃密に作り込まれていて、表向きの印象は、従来のGoogleとは違う感じです。

一方で、このゲームのバックエンドにいるのはまぎれもなくGoogleであり、世界中にユーザーがいる超大規模かつ緻密なゲームを運営しつつ、データをガンガン収集してるのね〜と考えると、SFと現実の交差点のような趣がありまます。

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そして実際に始めてみると、3つほど興味深い発見がありました。

1:リアル生活の活動拠点とは違う、小さな史跡や神社などに目が行く

1点目は、ゲームの重要拠点となる「ポータル」の、おもしろい設定基準の効果です。ポータルは世界中のユーザーが施設を写真に撮って申請し、設定されます。そして、申請の承認基準として、地域の小さな神社などのスポットや、史跡、彫刻などの芸術作品といった、ちょっと変わったものがあります。

私たちの日常では、駅など交通機関やコンビニなどの商業施設と、会社や学校を結んだラインが、日常の動線になっているはずです。ところがイングレスのポータルは、そうした動線とは少しズレた場所になります。

私の主な活動エリアである東京の下町だと、国道や都道など新しい道の周囲よりも旧街道沿いにポータルが集中していたり、住宅地の片隅の、言われてみればここに何かあったなーと思うような小さな神社が重要なポータルになっていたりします。

イングレスを始めて近所を歩くと、ふだんは気にも留めなかったような神社や、あらためて見る機会のなかった石碑が、陣取りの拠点としてピックアップされていることに気付くはずです。これによって、見慣れたはずの近所でも、意外な発見がけっこうあります。

▼参考:
Portal 候補の基準 – Ingress ヘルプ

2:ふだんの動線とは違う道で、新しい街の様子に気付ける

2点目は、陣取りのルールからくる、新しい道や、これまでに見たことのない街の顔つきの発見です。私たちの日常的な動線は、先述したようにある程度固定されています。しかし、イングレスで効率のいい陣取りを考えながらポータル間を移動するとき、日常では通らないようなルートを取ることになります。

近所の、これまで曲がったことのなかった角を曲がり、なんてことのない路地裏を歩くのが、新鮮です。そういう道を理由もなく歩こうという気にはならなくても、イングレスがきっかけになって、自分で考えて、歩く。これが非常に楽しいです。

3:「体を動かすのは楽しい」というシンプルな事実を思い出す

イングレスを始めた理由の1つに、「歩く理由が欲しかった」ということがありました。健康維持のためにウォーキングをしたいが、なかなか時間を捻出できない。何か魅力的な「ついで」があればな、と。

そういう意味でイングレスは非常に魅力的でありましたが、ぼちぼちやっていると、今度は「イングレスをやりたいから歩く」だけでなく「歩きたい(または自転車で走りたい)からイングレスで行くポイントを探す」という、反対方向の理由付けもしていることに気付きました。

これは何でしょうか。要するに「体を動かすのは楽しい」という、生き物としての非常にベーシックな欲求に素直になっている結果なのではないか、という感じがしています。

この先にあるのは何だ?

以上は、私がこの3連休に東京の下町中心に、1人で(または息子の虫取りに付き合いながら)歩いたり自転車で走ったりしての感覚であり、プレイヤーの人口密度やポータルの分布具合、勢力の均衡具合などによって、かなり雰囲気は違うのではないかと思います。

イングレスは2陣営に分かれての陣取りゲームで、一定以上の成果を出すにはチームプレイが必須になります。近い将来、ソロプレイでは限界が来そうです。

そのときどうするかなー? という、いささか余計な心配もちょっとしています。MMORPGの類にはハッピーエンドがなく「燃え尽きる」「飽きる」「人間関係のゴタゴタが発生する」「サービスが終わる」のいずれかが、よくあるエンディングです。

ハッピーエンドを自分で作るとすれば、ゲームの中でゲームに限らない友達との関係を作って、楽しくやっていくというところでしょうか。しかしG+コミュニティの申請方法をミスったのか入れてもらえないというあたり、最初から絶望的ですが。

そうしたプレイヤー個人の話とは別に、Googleがこのゲームの先にどんなものを考えているのかも、非常に気になります。すでに、世界中の微妙なランドマークと先進的変人の行動について相当なデータが集まっているだろうと思いますが、これが今後、例えばGoogle Nowの行動予測をするためのデータになったりするんでしょうか。

もう1つ気になるのは、イングレスのプレイヤーがある程度以上に増えたとき、何が起こるだろうか? ということです。

現在はまだ空白のエリアもあり衝突を避けて陣地を増やすこともけっこうできますが、ユーザーがもっと増えれば、今以上に熾烈なゼロサムゲームになるでしょう。

考えても楽しい話ではありませんが、プレイヤーの裾野が広がれば、ゲーム中の偶然の遭遇によるリアルファイト(喧嘩)の発生や、有利な陣取りのために私有地へ侵入などの犯罪行為などが問題視されるようになるかもしれません。

そのような予想される将来に向け、サービスはどのように舵取りをしていくのか、楽しい拡張現実陣取りはゲームどれくらいの規模まで楽しくあり続けられるのか、できればプレイヤーとして体験しいきたいと思います。