「なぜ、我々は思いやりを発揮できないのか?」ダニエル・ゴールマンのTED講演

TEDの講演からもうひとつ。当サイトで何度となく取り上げている「SQ 生きかたの知能指数」「EQ こころの知能指数」の著者であるダニエル・ゴールマン氏の映像がありました。

テーマは「思いやり」について。氏は「SQ 生きかたの知能指数」第4章において、孟子の言葉「人皆人に忍びざるの心あり」を引用しながら、「思いやりは人間の本性」であるとしています。

人は「ミラーニューロン」の働きにより相手に共感し、思いやりを発揮する。しかし、「少なくとも理論上はそうなっている」のに、なぜ思いやりが発揮されない場面があるのか——?

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なぜ田舎者は「東京の人は冷たい」と恐れ、年寄りは「若者が冷たい」と愚痴るのか。「SQ 生きかたの知能指数」においては、次のように、わりとサラッと書かれています。

この問題については諸説紛々で、社会心理学の実験結果が無数に提示されることになるだろう。しかし、最もシンプルな答えを出すならば、現代の生活がそうした行動を妨げている、ということかもしれない。困っている人との距離が遠い、ということだ。
(ダニエル・ゴールマン「SQ 生きかたの知能指数」P.100より)

要するに確定的なことは言えないということですが、困っている他者を「認知」したり、「同情」したりするだけでは共感は起こらず、思いやりも発揮されないのである、といった説明がされています。

確かに現代の生活においては情報技術の発達により認知できる情報量が増え、同情を示す機会も増えましたが、一方で誰かときちんと向き合い、ミラー・ニューロンを動かして共感する機会は減っている、と言えるのかもしれません。

動画中の講演では、本にはないいくつかのエピソードが語られています。そして、あんまりわかりやすくおもしろい結論には落ちないようですが、キモは、人間のよい性質であり、個人も社会も幸福にしうる「思いやり」を適切に発揮するトリガーを抑制しているのは何で、どのように取り除くことができるのか? といったところです。

最後のニューヨークのホームレスに対する言及は、「影響力の武器」に書かれている「社会的証明」についても合わせて読むとおもしろいかもしれません。

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか
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余談ですが、「影響力の武器」は7月に第三版の発売が予定されている一方で、別の出版社から別の訳らしい「影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく」という本も出ていて、何やらナゾの状況になっています。「影響力の正体」はKindle版もあるようです。

SQ生きかたの知能指数
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EQ こころの知能指数 (講談社プラスアルファ文庫)
4062562928

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