デレク・シヴァーズの社会運動論を説明する、ダンカン・ワッツの「流行」モデル

読書メモをもうひとつ。デレク・シヴァーズ氏の「社会運動はどうやって起こすか?」。社会運動(ムーブメント)を起こすためには最初の賛同者、2番目に行動を起こす人物が重要であるという、有名なプレゼンテーションです。

ムーブメントの起こる仕組みを「同期」の観点から解析した記述が、スティーヴィン・ストロガッツ氏の「SYNC」にありました。

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「SYNC」の第10章「ヒトの同期」は、ストロガッツ氏のもとに突然、俳優・脚本家のアラン・アルダ氏から連絡が来る場面から始まります。

SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか (ハヤカワ文庫 NF 403 〈数理を愉しむ〉シリーズ)
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アルダ氏はストロガッツ氏が雑誌に書いた同期についての記事に興味を持ち、流行が発生するプロセスも同期のメカニズムで説明できるのではないか? と尋ねます。時は1994年。アルダ氏との会話でストロガッツ氏が認識したのは、当時「ヒトの同期現象についてほとんど何もわかっていない」という事実でした。

そこから、ストロガッツ氏は本書で2つの「流行」のモデル(グラノヴェッター・モデルと、ダンカン・ワッツ・モデル)を紹介しています。ここでは、よりリアルだとされるダンカン・ワッツ・モデルについての記述を、少し引用しましょう。

一つのノードが「種子」としてランダムに選択されると同時にゲームは始まる。このノードは、思い切った行動に出る「革新」(導入)者に当たる。「ドミノ倒し」の最初のドミノが倒れたところを思い浮かべていただければいい。ひきつづき、各ノードはランダムな順序で一つずつ、隣接ノードを注意深く眺め、それらがどのくらいの割合で倒れたのかをチェックする。その値が自分の閾値を越えていれば、そのノートは倒れてしまう。そうでなければ、立ったままだ。
(スティーヴン・ストロガッツ「SYNC」ハードカバー版P.396〜397より)

この説明はややこしいのですが、簡単にしてしまうと、最初に倒れるドミノの周囲に「閾値1のドミノ」があれば、それも倒れる。すると、次に「閾値2のドミノ」を倒すことができ、連鎖的にさらに閾値の高いドミノを倒せるようになる。これが流行・社会運動・ムーヴメントの発生する仕組み(のモデル)である、ということです。

しかし、最初のドミノの周囲にネットワークが形成されていなければ、こうした連鎖は起こらないとされます。また、最初のドミノの周囲に閾値の高いドミノしかない場合も、連鎖は起こらないことになります。

ここで、デレク・シヴァーズ氏の言葉「スゴイことをしている孤独なバカを見つけたら 立ち上がって参加する 最初の人間となる勇気を持ってください」と繋がります。最初のドミノに繋がって、率先して倒れろ、ということです。

そして、ストロガッツ氏の説明から補足するならば、自分の近くに、さらに倒れてくれる人がいなければ流行は置きにくい。その勇気を常に携行し、同種の友達を持つことも大事、と言えるのではないでしょうか。

なるほど。そして、いささか凹みます。こういうの苦手にしているなあ。

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