小学生の作文における「5つのツボ」とは? 「作文の神様が教える スラスラ書ける作文マジック」(岩下修)

前回の記事を察知した妻が、机の上に置いておいてくれました。「作文の神様」とか大きく出すぎでしょと思いつつ読んでみると、なんだ神だったわ……と思えてしまう、作文の書き方における、いい教科書だと思います。

▼前回の記事:
説明力、あるいは小学生の作文力をつけるには? | Heartlogic

スラスラ書ける作文マジック: 作文の神様が教える (eduコミユニケーションMOOK)
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本書はたぶん、保護者向けの本でありながら、子供がひとりで読んでも理解し、実践できるように作られています。文字が大きかったり、非常に平易な解説文が多いのは、そのためでしょう。

ただし、漢字にいっさいルビが振られていなかったり、ちょっと難しげな言い回しもあったりするので、ひとりで読みこなせるのは、小学校の高学年ぐらいからでしょうか。それ以下の学年では、親子で一緒に本書を読んでいくのがよさそうです。親向け、子供向けと、それぞれに明確に振ったコーナー分けがあってもいい気もしました。

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わかりやすい構成と、シンプルに整理された「5つのツボ」

本書の構成は、最初に小学生の作文のサンプルの紹介、次に「作文が上手に書けるようになる5つのツボ」としてメソッドの解説、最後に「まねっこ作文」として、サンプルをなぞり書きできるページ、となっています。

偶然にも前回書いた山本五十六メソッド(と仮に命名)の「やってみせ、言ってきかせて、させてみせ」までを本書でカバーしている作りですね。読書感想文と夏休みの作文向けに、ピンポイントの解説もあります。

本書の肝である「5つのツボ」を、ここで簡単に紹介しましょう。

  1. 字数を決めよう
  2. 4つに分けて書こう
  3. 型(スタイル)を決めよう
  4. 題は書き終わってからつけよう
  5. 知覚語をたくさん使おう

納得感のある並びだと思います。ただ、私が小学校のころには「いどだど」と習った、「『いつ、どこで、だれが、どうした』の順番で書こう。最低限必要な情報が入り、文章が破綻しないぞ」というような、文章術の基礎の基礎レベルはクリアしていることが前提となるようです。

「型」としては、起承転結で構成される「物語風作文」、はじめ→なか1→なか2→まとめ、という構成を意識する「説明的作文」、テーマの提示→意見1→意見2→結論の流れでまとめる「小論文的作文」の3種類が提案されます。なるほど、シンプルで使いやすそうだなと感じました。

「知覚語」という言葉は初めて目にしましたが、「読んで具体的にイメージできる言葉」を知覚語と呼ぶのだそうです。五感で捉えたもの、人名や地名の固有名詞、数値などが、知覚語であるとされます。要は、具体的に書けということでしょう。

「はじめに」の最後の一段落には、深く納得しました。

 頭の中で考えがまとまったから作文が書けるのではありません。書くことによって考えが生まれるのです。書くことによって、考えが再構成され、思考力が高まるのです。
(岩下修「作文の神様が教える スラスラ書ける作文マジック」P.7より)

「声の文化と文字の文化」にも同様のことが書かれていましたが、作文力、説明力が付くということは、物事を深く、適切に理解する力も付くということなんですよね。

▼関連記事:
どんな発明よりも「書く」ことが人間の意識を変えた(「声の文化と文字の文化」4章から) :Heartlogic[旧館]

問題は実践するきっかけの作り方?

とてもいい本だと思うのですが。ですが、わが家でどうやってこれの実践を始めようか、というと、ちょっと悩みます。本書は「作文を書けるようになりたい!」というモチベーションを持つようになるには? という部分がないんですよね。

そこ(自発的に動機付けする能力を育むこと)こそが教育の目的であるという指摘もあり、私も深く同意するのですが、とにもかくにも、本書はその部分には触れていません。もしかすると「書いてあるとおりにやってみ。面白くなってくるから!」というスタンスなのかもしれませんが。

計算や漢字読み書きとはちょっと違うものだけに、モチベーションをどう作っていくかも作文の大事なテーマであると思うので、2〜4ページぐらいで、「作文が上達するようになるとこんなにいいぜ!」というお話があったら、もっと神だったかもという気がしました。

▼関連記事:
動機づけとは、教育の手段ではなく、目的である。 : NED-WLT

親がこの本を買うということは、親のやる気は明白です。では、肝心の子供の気持ちにどうやって火を着けるか……。いままでの例で言えば、おてがみを続けながら、文章を読む機会も増やすことが(私がもうちょい実のあるおてがみを書くこと含め)、まず第一かな。

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