自分の「正解」を作るために必要なものは? 「誰も教えなかった“自分流写真”の方法」紹介

「自分流写真」。コンセプトとしては魅力的な響きですが、そこに具体的なモノを持たせるのは難しい気がします。どんなことが書かれているのだろう……と、読んでみました。

誰も教えなかった“自分流写真”の方法 (玄光社MOOK)
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今年度は写真を勉強し直そう。しかしどこから手を付けようか……と思いつつ入った書店で、目に付いたものです。写真とSNSが身近になっている時代を反映してか「いいね! が貰える写真の撮り方」的な本が複数出ている中で、それらを正面から殴り倒すようなテーマであると思います。

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内容は、簡単に言って、写真を撮る心構えのコラム集のような感じでしょうか。ある程度のスキルを身に付け、教科書通りの写真は撮れるようになった。さて、では自分の写真(作品)とは……といったところで、手に取る感じがちょうどよさそうです。

読み始めると、著者の丹野清志氏(1944年生まれ)の世代的には当然そこからなのでしょうが、最初から「フィルムとデジタル」の話題が並び、どんだけ高年齢層向けなんだ……と思いました。

とはいえ、デジカメが普通に使われるようになってまだ20年経っていませんし、団塊ジュニア世代の私にはフィルムの経験もあるくらいなので、そんなものでしょうか。フィルムとデジタルは別モノだが写真の本質は変わらないという話、説得力があり、おもしろかったです。

まだ半分も読んでいないので、書評的なものはまた後で、として……。

本書では、写真を何で撮るか、何を撮るか、どう撮るか、どう評価するか、といったことについて書かれていますが、それらを非常に大雑把に解釈すると「ここからここまでの方向性なら、どれも正解。だけど、こっちに考えるのはおかしいよね」というようなことが書かれている、と、捉えました。

つまり、丹野氏の考える「正解」を与えるものではないけど、明らかな間違いは排除し、読者が自分流の「正解」を作るための判断基準を与えてくれる、という感じです。

「自分流」のための地図

「思考の整理学」の冒頭に、「グライダー人間」の話が出てきます。

思考の整理学 (ちくま文庫)
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学校は、教科書に引っ張られて学ぶ「グライダー能力」に長けた人間を養成するが、学校の成績が優秀であった人でも自発的に飛ぶ「飛行機能力」は育たない。グライダー能力が邪魔になることすらある、といった話です。

そして、こう結ばれています。

他方、現代は情報の社会である。グライダー人間をすっかりやめてしまうわけに行かない。それなら、グライダーにエンジンを搭載するにはどうしたらいいのか。学校も社会もそれを考える必要がある。
(外山滋比古「思考の整理学」P.15より)

本書「誰も教えなかった“自分流”写真の方法」は、自分のエンジンで飛ぶときにどこを目指せば正解にたどり着けるか、どこに飛んでいくと危険か、という色分けされた地図のようなものだと言えるでしょうか。

グライダーがいきなり「自由に飛べ。お前の考えで好きなところに行け」と言われても、実際問題困るわけですよ。でも、「この方向性はナシね」「このあたりから好きなのを選べば、大きな失敗はしないと思うよ」ぐらいのガイドがあれば、それなりに自信を持って飛べるはずです。「守破離」の「破」の参考書というか。

いい指導者は、あまり気付いていなかったときでも、そういう方向性をある程度示してくれていたのかなあ……。

読んでいた途中で思い付いたことを書いたので、では、続きを読むとします。

誰も教えなかった“自分流写真”の方法 (玄光社MOOK)
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余談。ダメな方向性をきちんと教えるのは、教える側に相当な経験がないといけなくて、最初にその世界を切り拓いた人でないと見えないものもけっこうあり、全部が継承されなかった結果いろんなものがだんだん形式化していく、なんてことはどこにでもありそうですね。あと、ダメな方向を言うときはうまく言わないと、単に口やかましい人に見えがちであったりして難しい。