有栖川有栖が描く“夏休み+少年少女+冒険”の物語「虹果て村の秘密」

「夏休み」「少年少女」「冒険」が大好きな皆さんこんにちは! 加えて有栖川有栖のミステリが大好物な小林と申します。そんな魅惑の四重奏「虹果て村の秘密」という作品が出ていたことを、先日知りました。

虹果て村の秘密 (講談社文庫)
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主人公の上月秀介は、推理作家になることを夢見る小学校6年生。クラスメイトの二宮優希と一緒に、彼女の母であり、憧れの推理作家である二宮ミサトの実家がある通称「虹果て村」に行きます。

ジュブナイル小説なのか? 主人公が子どもであるだけで普通の本格ミステリなのか? とちょっと戸惑いましたが、あとがきにて「ジュブナイルミステリ」であり、子ども向けの企画のために書かれた作品であると説明されているので、ジュブナイル小説だ、と考えていいのでしょう。

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私にとっての有栖川作品の好きなところの1つに、行間からとても抑えきれない勢いで滲み出てくる「本格ミステリ」に対する真摯な姿勢や几帳面さがありますが、本作でもそれは健在です。正直なところ、健在すぎて全体的ちょっと硬いのでは、という印象を受けました。あと、なかなか人が死なない!!

ジュブナイル小説に求めたい、ドキドキ・ワクワク感はかなり抑えめであると感じます。一方で、少年少女向けの本格ミステリである、ということにはきわめて真面目です。ネタバレは厳重に避けたいと思いますが、最後まで読んで、ああ、有栖川有栖なのだなと思い。すべてのあとがきをよんで、実に有栖川有栖なんだなあと、ちょっとホロリと来てしまいました。

もちろん、子ども向けのミステリー小説としても、とてもいい作品だと思います。いい意味で教科書的である、と言ってもいいかもしれません。その一方で、有栖川有栖ファンの大人にとっても、とても味わい深い作品でした。あとがき含めて。

ところで、有栖川有栖氏の作品は最近、こんな「角川ビーンズ文庫」(女性向けラノベ的なレーベルらしい)としても出ているようなのですが、

臨床犯罪学者・火村英生の推理 暗号の研究 (角川ビーンズ文庫)
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「虹果て村の秘密」のヒロインである優希の女の子らしい描写はアッサリとしているのに対し、火村(作家アリス)シリーズの火村英夫の描写は、抑えめながらもポイントをしっかり押さえた感じでセクシーで、それはもう受けそうですね。