地球は丸かったし、世界はネットワークだった:社会ネットワークのひみつ(1)

この文章は、社会的ネットワークと、その中での生き方について、息子(2013年現在、小学校1年生)が小学5、6年生ぐらいになったときに読んでくれる、という想定で書いています。

息子と、これから息子と関係していく方達に、何かの役に立ててもらうことができれば嬉しく思います。


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見えない「つながり」を想像してみよう

これから「世界をどう見るか?」という話を、したいと思う。

ずっと昔、世界はゾウやカメの背中に乗っていると考えていた人たちがいたらしい。だけど、今そんなふうに考えている人は、おそらくいない。もう少し進んだ時代では、世界は平らで、端から海の水がこぼれていると考えられていたそうだけど、今では「地球」という天体であるとされている。太陽が地球の周りを回っている(天動説)というのは勘違いで、本当は地球が太陽の周りを回っていた(地動説)。

これから話したいのは、そうした世界の見方の、いちばん新しいやつについてだ(なお「世界」の意味はちょっと変わって、地理的な意味での世界ではなく、世界中に暮らす人間の社会という意味での「世界」のことになる)。

私たちの社会は「ネットワーク」である、という発見がある。ネットワークといえば、インターネットがイメージしやすい。教科書に、世界中のパソコンやスマートフォンが通信回線でつながっているインターネットの絵が載ったりしているだろうか。

パソコンやスマートフォン、ゲーム機などの多くは、Wi−Fiでインターネットに繋がっている。目には見えないけれど、ネットワークでほかの機器と繋がって、ネットワークの中にある。

人間も同じだ。目には見えないけれど、私たちはみんな、家族や友達などと、つながり(関係)がある。なんなら、君の頭のあたりから何かヒモ状のものが伸びて、周りの人たちとつながっている様子を想像してみると、人間の社会ネットワークのイメージができあがる。

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各地にある点(「ノード」と呼ぶ。インターネットではコンピューターにあたる)が、それぞれつながって(つながりのことを「リンク」と呼ぶ。「タイ」(tie)または「紐帯」(ちゅうたい)と呼ぶこともある)、インターネットのような「機械のネットワーク」では、お互いに情報を送り合い、影響しあう。

社会、つまり「人間のネットワーク」でも、人々がそれぞれつながって、仲よくしたりケンカしたりしている。

機械のネットワークと人間のネットワークには、よく似た部分がある。

機械のネットワークと、人間のネットワーク

私たちは、インターネットなど機械のネットワークを、きわめて客観的に、クールかつドライに観察し、その特性を調べ、理解することができる。どのように情報が送られるか、どの機械の調子が悪く、修理が必要かなど、技術者ならすぐに調べることができる

一方で、人間社会というのは複雑でさまざまな感情がうずまきドロドロしていて、よくわからないものだと思われがちだ。人の気持ちを想像し、関係をうまくやっていくことは、ときには非常に難しいことだとされる(実際、難しい)。

ところが「機械のネットワークと人間のネットワークには、よく似た部分がある」という基本の認識を押さえておくと、機械のネットワークに見られる特性を人間のネットワークに当てはめて考えることができる。そして、意外とシンプルに人間社会を捉え、困ったことの解決方法を見つけられる場合が、わりとある。

例えば、クラスの中の班活動がうまく行かないというとき、班というネットワークの中で、どういう問題があるかを考える。すると、機会であれば「このパソコンとこのパソコンの通信がうまく行ってない」」みたいな事態が、班のメンバーの間で起きていたりする。

その2人は確かにどうしもなく相性が悪くて嫌い合いっているかもしれないけど、いったん感情的な問題を置いといて、班活動をうまくやるという目的のためにどうするか、とドライに考えると、なんとかできる解決策を見出せることもある(もちろん、なんともならないこともあるが)。

これから話したいのは、こんなふうに、私たちはネットワークの中で暮らしていて、ネットワークの特性を知っておくといろいろ役に立つ、という話だ。

人間社会は複雑だけれど、ネットワークの一種だと考えれば、目の前の問題も客観的に、クールかつドライに考えて、シンプルな解決策を考えられることも多い。そういう考え方を知っているだけで、ちょっと余裕を持って生きていけると思うよ。

今回の話をまとめよう。

私たちの社会はネットワークになっていて、あらゆる意味で、私たちは周囲とつながっている。だから、人間社会と、インターネットなど機械のネットワークは、似た特性を持っている。


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補足:ネットワーク理論について

ネットワークに関する研究は「ネットワーク理論」と呼ばれる。入門的で比較的かつ総合的な解説書としては「新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く 」がいい。

広がり続けるネットワーク(「スケールフリー・ネットワーク」と呼ぶ)でどのようなことが起こるのか、同性愛者のネットワークで性感染症が広がる現象や、電力の大きなネットワーク起こる危険な故障など、興味深い事象が解説されている。

冒頭の写真は高速道路。高速道路は、まさにネットワークの一種だ。