チキンレース化する“ソーシャルメディア”  

ここ半年ほど、余裕がなくて詳しく動向をチェックできていないこともあって“ソーシャルメディア(一般的な意味とは若干違うのでカッコ付きで)”に、いまひとつ興味を持てずにいます。 「メディア」と「コミュニケーション」、「コミュニティ」と「ソサイエティ」のようにテーマが細分化して語られて...

ここ半年ほど、余裕がなくて詳しく動向をチェックできていないこともあって“ソーシャルメディア(一般的な意味とは若干違うのでカッコ付きで)”に、いまひとつ興味を持てずにいます。

「メディア」と「コミュニケーション」、「コミュニティ」と「ソサイエティ」のようにテーマが細分化して語られていく一方で、意味的にも内包するものも巨大化している(と思う)“ソーシャルメディア”を相変わらず大ざっぱに礼賛するような向きも見られ、前者に関してはまだ事例や論点が固まっていない中で、後者の方ばかりが目立つような印象があります。

そして、どちらにしても、Web2.0ブームの頃とは違って「個人の力」や「群衆の力」でなく、どうもマーケティングや採用活動など「企業活動」に視点が集まっているような印象もあります。

これは、あくまでも個人的に今「印象がある」というだけで、実体としてどうかという話をするには、もう少し丁寧に検証するべきではあります。情報源が偏っているせいかもしれませんし、全くの気のせいなのかもしれません。

それにしても気になるのは、Facebookから他のサービスも含めて「ソーシャルメディアは本名で顔出しで使って人生のできるだけ多くの情報を書き込むもの」みたいな認識がなんとなく“ソーシャルメディア”業界とその周辺において常識でありカッコイイみたいな風潮になりつつあるのが、それで本当にいいの? というところです。

現状、学生が若気の至りでかました失言から個人情報が芋づる式に暴かれてえらいことになる事件が続発していたりするし、田口さんが仰る「先祖いじめ」は冗談と受け取るとしても、思わぬところで難儀なことになる可能性はゼロでありません。

200年後とか、孫とかに絶対検索されますよ。おじいちゃんってこんな髪型してたんだ、とか。「お前のおじいちゃんイケてない」みたいな先祖いじめが絶対流行る。それが一番の理由です。
自分が書いていることが、いかに検索感を買うかを真剣に考えるとちょっと怖いぐらいです。Twitter、Lifestream、Flickr、それに顔写真をあわせると人生再現録みたいなのができてしまうと思います。嬉しいですか? そういうことを考えて、ボクは残さない選択をしました。でも、別に出してもいいと思います。
人気ブログ『百式』を運営する田口元さんが語るセルフブランディングセミナーの内容全部まとめ | デジタルマガジン | Page 7

確か2006年あたりに出会い系サイトの問題が大きくなってきたときには、mixiではそれまでの本名推奨をやめて、ハンドルネームを使って本名はあんまり載せるな、という形にページの説明文などを変えてました(ソース見つからず)。最近ではまたリアル個人情報と紐付けることを推奨しているようですが、それは単に他サービスへの対抗でなのではないか、という感があります

18歳未満には青少年の健全な育成がどうこうでネットの利用を規制し(参照:東京都の改正青少年条例がついに全面施行、子供向けケータイ推奨制度など -INTERNET Watch)、大学生になったら就活に向けて本名でソーシャルメディアがんがんやれや、という無茶さは、ちょっとしたチキンレースのようなものなんじゃないかなあ、恐ろしい話だなあと思って見ています。

就活でソーシャルメディアで、といえば先に話題になったこちらの記事があります。

Googleが今年6月にオープンしたSNS「Google+」で日本一人気があるユーザーは、普通の女子大生だ。
普通の女子大生がなぜ、Google+で「日本一」になったのか - nanapi Web

ちらと眺めて岡田有花氏の仕事だと直感した(実際そうだった)んですが、その理由は岡田氏の文体の特徴がどうとかではなくて、ネットにおける個人の活動を取材して第三者の視点から記事にする、という仕事を続けている人が岡田氏ぐらいしかいない、ということだと思います。つまり、ネットでの一般ユーザーの活動についてはほとんどメディアで触れられていないと。

また、先述のように考えていたところに「普通の女子大生が」「就活のために」「好きでもない写真を始めた」というストーリーは、なかなか衝撃的でした。もちろん、必要に迫られて苦し紛れに始めたり、他人に迫られてやってみたことがきっかけで好きなことが見つかる、ということもままあるものですが、彼女は取材段階ではまだ「恐怖感で」毎日続けているだけだというのがまた驚きでです(最後の方まで読むと、楽しさを感じているような描写もありますが)。

二昔ほど前のネットは書きたいことがあってたまらなくて書かないと死ぬような人や、呼吸するかわりに何か表現している人みたいな濃い人ばかりだったことを考えると、ずいぶんと裾野が広がったもんだなあというか、形骸化したシステムって恐いなあというか……。

上の、東京都青少年の健全な育成に関する条例とソーシャルメディアの件も誤解している可能性がありますが、それを含めて最近のソーシャルメディアをとりまく状況がよく見えないので、読むブログやTwitterのフォロー先を開拓しつつ、とりあえずは本を集中的に読んでみようと思います。

今だと「パブリック」かな。

パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ
4140815132

「ネット・バカ」もまだきちんと読んでいなかった。

ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること
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