ネットの言葉と、書き言葉と話し言葉、そして言文一致について  

以前に書いた記事『ブログの意義は「自由」。マキコミの鍵は「想像力」』にて、

  • ネットに書かれる同じような文章でも、ポジティブなコミュニケーションを起こすものは、1 to 1のコミュニケーションをイメージして書かれていて、それは話す系商売の心得のある人が得意であるようだ
  • 一方旧来の書く系商売で訓練された人は、どうもネガティブなコミュニケーションを起こしたり、またはソーシャルメディアでたいしてコミュニケーションを起こさないような文章になりがちなのではないか

てなことを書きました。

その後、それって昔の「言文一致」運動とリンクする何かがあるのではないかな、と思ったのですが、なにぶんそのあたり知識もなく、軽くネットを眺める程度ではよく分かりませんでした。とりあえず軽くメモなどを。

思ったこと

今の日本語も書き言葉と話し言葉は違っていて、例えば「しかし」とかそういう言葉は書き言葉では使っていても話し言葉で出ることは少ない。インタビューをそのまま文字に起こしても文章としては密度がなさすぎたり、そもそも文としての体をなしていなかったりするし、聞き書き、対談、語り下ろし、講演など「語り」の本は編集されていても文体が違う(たいてい、やわらかい印象になる)し、「書き」の本よりもやっぱり密度はやや落ちるのが普通。

そんな中で、書き言葉を使い慣れてしまっている人よりも、話し言葉の方に慣れている人の方が、ソーシャルメディアで他者のリアクションを引き出しやすい語彙やリズム(情報密度? 話の構成方法?)の文章を書けるセンスを備えているのではないか?

Wikipediaでも見てみるか

あんまり面白い情報はありませんでしたが、リアルな感情表現のために口語体を使う試みがされたらしい、ということが伺えました。

二葉亭が『浮雲』(1887年)を書く際には、落語家の初代三遊亭圓朝の落語口演筆記を参考にしたという。
言文一致 - Wikipedia

初の言文一致の試みとされる「浮雲」は落語の口調を参考にしていたり、言文一致運動前に書かれたものでも、台詞だけは当時の話し言葉のテイストが反映されていたりすると。

江戸時代の洒落本・滑稽本の類では、会話部分は当時の話し言葉が強く反映され、地の部分の書き言葉では古来の文法に従おうとした文体が用いられている。
日本語 - Wikipedia

国語教育をするにあたって文語と口語は乖離していては教えにくい、というような事情もあったようですが。こんな情報(↓)もありました。

それまで(江戸時代)の、学を披露し合うような、難解な言葉の応酬はやめて、なるべく平易で論理的な言葉に日本語をしようというような思想っていうのは長く続いて、戦後の「国語審議会」の活動や、「常用漢字表」「現代仮名遣い」などの内容によく現れています。
言文一致運動と日本語 - 国語 - 教えて!goo

ネットで生まれた言葉(ネットスラング)が話し言葉に逆輸入される現象

逆の意味での言文一致?

結局「芸風」とか「性格」とか「個性」と言ってしまったらそれまでかなあ

例えば「ZONOSTYLE」の倉園さんはインターネットマガジンの編集長を務めたほど「書く」系を極めた方ですが、しかしブログの文章はかなり独特で、「語り」の感じに近い。根っこがミュージシャンだから、ということだからかもしれませんが。

書簡集など読んでみたら面白いかもしれない。

先の記事では、「一般的な掲示板とか、双方向コミュニケーションを前提に設計されたシステムを使えば、それなりに相手の反応の想像もできる気がするのですが」とも書きました。そういえば、作家の書簡集など読んでみると、小説などとして書かれたものとは違う、特定の読み手を明確に意識して書かれた文体を発見できるかもしれません。

ということで、読んだことのある作家の書簡集を探してみると……、

漱石・子規往復書簡集 (岩波文庫)
4003111168

川端康成・三島由紀夫往復書簡 (新潮文庫)
410100126X

川端×三島を即座に注文しました。

対談集も参考になるかなあ……。震災後を生きるための「物語」が最近注目されている感じもしますが、そんな物語論として、この対談が面白かったと思います(すっかり忘れているので読み直してみよう)。残念ながら対談がもっと続くはずだったのに、河合隼雄先生が亡くなってしまったのですが。

生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)
410121526X

最近また「ブロガー」と『ライター」の違いみたいなところが気になってきていますが、こういうことを書きながら考えてみるのは「ブロガー」をいろんな角度から見て知る旅というか、分かっているようで分かっていない何かを探す、回り道しながらの旅のような感じです。

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