Twitterまんべくん事件の問題点と特殊事情  

長万部町のゆるキャラ「まんべくん」のTwitterアカウントが8月14日に日本の戦争責任についてのツイートを行ったため、町に苦情が殺到し、町は「まんべくん」のアカウント閉鎖を業者に命じた、という事件がありました。 北海道長万部町は16日、公式キャラクター「まんべくん」の簡易ブ...

長万部町のゆるキャラ「まんべくん」のTwitterアカウントが8月14日に日本の戦争責任についてのツイートを行ったため、町に苦情が殺到し、町は「まんべくん」のアカウント閉鎖を業者に命じた、という事件がありました。

北海道長万部町は16日、公式キャラクター「まんべくん」の簡易ブログ「ツイッター」を閉鎖することを決めた。終戦記念日に合わせ「日本の侵略戦争が全てのはじまり」などと書き込み、苦情や抗議が殺到したためで、白井捷一町長は観光協会のホームページに「おわび」を掲載した。
まんべくん:ツイッターに苦情殺到で閉鎖…北海道長万部町 - 毎日jp(毎日新聞)

そもそも、町のPRのために存在するはずの「ゆるキャラ」が、しかもTwitterという議論が困難な場で、さらに「毒舌が売り」という紛糾必至の設定までしておいて、なんで戦争の話を始めるのかがよく分かりません。どうもキャラクターのアイデンティティがきちんと設定も管理もされておらず、中の人(運営していた業者)の思いが暴走した、ということのようです。

Togetter - 「まんべくん『どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまり』→『炎上の後のペプシネックスは格別!』」

本件、「ゆるキャラ」のアカウントということもあり、自治体や企業の広報アカウントはどうあるべきか? という普遍的な問題にとってあまり参考になるものではないようにも思いましたが、

  • キャラクターの設定は十分に念入りに行うべき
  • キャラクターがキャラクターらしく活動しているかチェックをするべき

といったことは、ごく一般的な話ながら、改めて言えるでしょうか。

戦争の議論は自由に行えばよいが、ゆるキャラのアカウントで行うのが適切とは思えません。また、激しい異論反論が起こり紛糾することが十分に予想できる問題は、それなりの準備をしてから取り扱うべきでしょう。長万部町と業者との契約がどうなっていたかは不明ながら、日本の戦争責任のような話がいきなりされることはおそらく町にとって想像もしていなかった事態であり、擁護のしようもなく、アカウント閉鎖のようなことにもなるよなそりゃあ……と思います。

狂気と狂気のコラボレーション

先の毎日.jpの記事に、次のような記述があります(強調は引用者)。

同町によると、ツイッターを管理しているのは同町出身で札幌市のウェブサイト制作会社役員の男性。10年10月から町の許可を得て無償で始めた

別の記事には、こんなふうにも書かれています(強調は引用者)。

地元でも風化寸前のキャラクターは、なぜ人気になったのか。その陰に佐藤さんの思いがある。09年の秋のこと。まんべくんに「出会った」。地元のゆるキャラに、笑いが止まらない。事業をボランティアで始めたいと思った。地元の製菓店に勤める佐藤さんは自治体に掛け合った。「こんな実績のない若者が掛け合ったって話なんか聞いてもらえませんでした」。それでも粘った。半年の交渉の末、ようやく運営を任されることになった。
連載(67)人気沸騰「まんべくん」の仕掛け人/佐藤健次郎さん | 特集 | northstyle [ノーススタイル]

どうも、まんべんくんアカウントの運営業者=佐藤氏は、長万部町の委託を受けて事業としてというよりも、町に請願してキャラクターの使用権をもらい、無償でやっていたようです。もっとも単にボランティアとして町のPRをしていたわけではなく、まんべくんオフィシャルサイトを自分で開設し、まんべくんオンラインショップも運営して、ちょっとしたキャラクター事業として展開されていたようですが。

まんべくんのキャラクターは、どこにも焦点の合ってない目つきがコワイです。そして、上記記事を読んだ印象では、佐藤氏に地元に対する強烈な思い入れと危機感が感じられます。そんな、ある種の狂気と狂気(かつて、はてなの近藤社長などに対して使われたニュアンスに近い、激しく剛直な熱気)のコラボレーションがまんべくんのキャラクター展開であり、一般的なビジネスとは異なる形で行われてきたからこそのブレイクであり、暴走であったのではないかと考えました。

まんべくんのTwitterのフォロワーは10万近く。さらに、各地に招かれてリアルイベントに参加していたり、いろいろなメディアに取り上げられたりと、めざましい活躍と言える状態だったのに、もったいないことだと思います。

Twitterのまんべくんについては、過去にもたびたび問題が指摘されていたようですが、Twitter上の謝罪ぐらいで済まされてきたようです。これまでの問題による反省を活かせず、今回ほどの大問題になるまで放置されてきたのであれば、町の管理体制にも問われるべき問題あり、ということになるのでしょう。熱意を持ちすぎた担当者はえてして厄介ごとの元にもなるので、適切なクールダウン係を置くべきであった、とか。