「ピント合わせ」の概念が消えるかもしれない、新しすぎるカメラ「light field camera」が年内発売との話  

こんにち「写真を撮る」といえば、大ざっぱに言って(1)構図を決める(2)露出を合わせる(3)ピントを合わせる(4)シャッターを押す という一連の作業を指します。

ところが、このうち(3)の工程をすっ飛ばして、撮った後で好きなところにピントを合わせたことにできる、という画期的すぎて想像を超えているカメラが登場すると、しかも年内にだというニュースが出ています。

米国のスタートアップ企業 Lytro が、「写真革命への第一歩」をうたう新製品 Light Field カメラを年内に市販すると発表しました。Light Field カメラは主レンズとセンサーのあいだに多数のミニレンズ群 (Plenoptic Lens) を挟むことにより、多くの方向からの光線を同時に記録する技術。背景から手前まで撮影後に焦点を自在に変えられること、暗所撮影に強いこと、またひとつのセンサーで3D写真も撮影できることが特徴です。
撮影後に焦点を変えられるLight Field カメラ、年内に一般向け製品化へ

今のカメラの原理は、最初の19世紀ごろから全然変わっていないが、Lytroが開発しているのは、初めての、まったく新しい原理に基づくカメラなのだ。それは、これまでのカメラのように、たった一枚の光界面(light plane)を捉えるのではなく、カメラの前に三次元的に存在する光界(light field)全体を、一台のカメラの一回の撮影で捉える。
焦点は撮ったあとに(好きな位置に)合わせる–写真の概念をラジカルに変えるLytroのCEOにインタビュー

技術的な話はよくわかりませんが、確かに「light field camera」で検索すると学術記事がいろいろ出てきます(→light field camera - Google Scholar)。一部は日本語のものもある模様。

light field cameraに関する6年前の記事と4年以上前の動画

2005年のWIREDの記事がありました。

 イング氏は自身が考案したこのカメラを「ライト・フィールド・カメラ」と呼んでいる。解放空間で四方八方に散らばる光について、その光量を記録する機能を持つためだ。このカメラの源流には、20世紀に行なわれた2つの研究がある。1つは20世紀初めに実験された、フィルムの前に複数のレンズを並べるインテグラル・フォトグラフィーに関する研究。もう1つは、1990年代初めにマサチューセッツ工科大学(MIT)が開発し、距離の測定に用いられる『プレノプティック・カメラ』だ。こうした発想を基にして、市販カメラのフォーカス機能を改良したいとイング氏は考えた。
撮影後にピントを合わせ直す新しいカメラ技術 « WIRED.jp Archives

この「レン・イング氏」は、先に引用した記事のLytro社の創業者であるRen Ng氏ということでしょう。

WIREDの記事では、商品化には課題もあるとしながら(特に価格面で)、面白い可能性も指摘しています。

いっぽう、イング氏の発明によってカメラの構造がいくつかの点で簡素化される可能性はある。イング氏の装置を搭載したカメラは、ピントを合わせるためのモーターが必要ない。つまり、カメラの可動部品を減らせるわけだ。
撮影後にピントを合わせ直す新しいカメラ技術 « WIRED.jp Archives

商品化の際の価格について、先に引用したEngadjet Japaneseの記事はこのように書いています(強調は引用者)。

Lytro は小型のカメラでLight Field 撮影を可能にする技術を開発しており、カメラメーカーへのライセンスではなく、みずから一般コンシューマー向けのカメラ販売に参入する点がおもしろいところです。創業CEO の Ren Ng 氏いわく、Lytro の民生用 Light Field カメラは年内に、「競争力のある」価格で販売される予定。
撮影後に焦点を変えられるLight Field カメラ、年内に一般向け製品化へ

こちらは、4年前のコメントが付いてるlight field cameraに関する動画。

未来のボケはデジタルボケか、新時代の光学ボケか?

本日「PENTAX Q」なる新型カメラが発表になり、画像素子が小さいためあまりボケを楽しむ余地がないのでは、という疑問に対して、

小サイズセンサーでは難しいボケ表現については、画像処理による「ボケコントロール」機能で対応する。ピント位置や被写体との距離などをカメラが判断し、自動的に最適な画像処理を行なうもので、「主役となる被写体が浮き立つような画像効果が得られる」という。背景ボケだけでなく、前ボケも作れる。
ペンタックス、レンズ交換式で世界最小最軽量の「PENTAX Q」 - デジカメWatch

という話が出ていましたが(そして、デジタル処理よりは天然=光学がいいよねーと思ったりしたわけですが)、light field cameraは現時点での私の理解だと、あらゆる焦点距離における光学的なボケの映像を一瞬で写しとれるっぽいです。しかも小型化が可能であると。こう書いてて本当かどうかあまり信じられませんが、とにかく出たら欲しいです。

(少し追記)
あらゆる焦点距離というよりは、レンズ群が捉えた焦点距離のどれかが選べる、ということなのかも(?)。気が向いたらまた調べてみます。参考:Twitter / @Shingi: @tiitan_1 パンフォーカスというよりは、複数 ...

改めて記事を読んでみたところ、解像力を落とせば安く作れるけど画のインパクトは落ちる、という中で、どこらへんで妥協点を取って値頃感を出すかが商品化のポイントなのかなと思いました。

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