Twitterにおける議論のスタンスについてちょっと考える  

Twitterにおける、いわゆる「議論」に対するスタンスとしては、次の3つがあると考えています。

(1)議論はしない。または、互いの主張の確認ぐらいまでで深くはしない
(2)肯定的な意見、自分の期待に添う意見だけを選択して取り上げ、繋いでいく
(3)賛否両論を取り上げる。または、否定的意見を取り上げて反論していく

リアルタイム性の高いTwitterでは、こうしたスタンスの違いによる議論の展開の違いが、速く顕著に見られるようになりました。

ごく単純に言って、(2)の人は議論に参加しないフォロワーからは「ときどき難しい議論をしているけど入りにくい」と思われている可能性があり、そしてフォロワー以外には議論を知られにくい(Togetterなどで知られることはある)。一方で(3)の人はちょいちょいやり合っていることでフォロワー以外にも有名なはず。(1)の人は、議論がどうということで認識されることはない、という感じになります。

3つのスタンスの良いところと悪いところ

この3つのスタンスは単純にどれが良い、悪い、と言えるものではないですが、人や議題によって、向き不向きがあるとは言えそうです。

マルコム・グラッドウェルの苦言と岡田斗司夫の予言 | WIRED VISION」でからリンクされている岡田斗司夫さんのインタビューで氏が語っているスタンスは(2)です。

他の人の質問を、僕はリツイート(ツイッター上で、他の人の投稿を引用して投稿する こと)して返すんですけども、その結果、大変質の高い読者が集まり出すんです (中略) まず内容について行けない人はフォローしなく なってくるんですね。そうじゃなくて、「面白い」と思った人間とか、「岡田斗司夫が面白 いことやってるぞ」と思った人間だけが残って、どんどんレベルが上がっていく。で、質 問も全部答えるのではなくて、「これは面白いから」とか、「みんなが考えている質問だか ら」とかいう質問には答えようというやり方でやっていくと、さらに読者のレベルも上が ってくる。
週刊ダイヤモンド2010年3月13日号 『FREEの正体0円ビジネス大解剖』 先行「フリー」配信記事 Interview  岡田斗司夫(PDF)

このように(2)は、ノイズを漉して議論を高度化できるという特長があると考えられます。一方で、そこに参加する/できる人は絞り込まれてくるので、フォロワーに議論に乗ってくれる人がいない、という状態では議論が成立しません。このスタンスを取るためには、ごく単純に言って「有名になる」か、継続的に話題を取り上げ続けて、議論に乗ってくれる人を集める必要があります。

一方で(3)のスタンスは、議論がエキサイティングになり爆発的に広がり認知されやすくなる一方、変な外野からの突っ込みも多くなり、それなりの精神的なタフさが要求されるはずです。

かつて私がニフティサーブの掲示板を見ていた頃は、岡田さんも(3)のタイプであったように感じていました。永遠にこのスタンスで続けるというよりも、一定の露出効果が得られ、固定ファンが増えたら(2)に切り替える、というような考え方がいいのかなあと思います。

一方で、村上隆さんが以下のようなツイートをされていて、なるほど氏から見えているTwitterの世界(現代アートに関する無理解と常に戦っているという印象)はそういうものなのかと、膝を打った次第です。

いやいや、そういう外野を相手にして行くメディアが「ツィッター」かと思います。RT @sohtaniguchi: こういうやり取りする度に、わらわらと湧く「外野」が本当に気に食わない。文句があるなら正々堂々かかって来い。    Twitter / @takashi murakami: いやいや、そういう外野を相手にして行くメディアが「ツ ...

関心経済(アテンション・エコノミー)、評価経済

岡田斗司夫さんは「評価経済」という言葉を提唱しています。「関心経済(アテンション・エコノミー)」と同義の言葉と考えていいようです。

じゃあ僕も、誤解されたり、「どうせ岡田斗司夫のいうことだからこうだ」と言われたり ということも含めて「岡田斗司夫」にしちゃおうかなと。それを「岡田斗司夫 2.0」と呼 んでるんですけど(笑)。だからそれまで僕は、間違った発言は敵だと思っていたり、過ち だから修正しようと思っていたりしたんですけど、そうじゃなくて、それを含めて「岡田 斗司夫」なんだと。で、僕の悪口を書く人や僕について書いてくれる人も含めて、巨大な 「岡田斗司夫グループ」だという風に考えた瞬間に、ものすごく分かりやすくなったんで すね。なるほど、このグループを大きくすることを考えればいいだけなんだなあと。
週刊ダイヤモンド2010年3月13日号 『FREEの正体0円ビジネス大解剖』 先行「フリー」配信記事 Interview  岡田斗司夫(PDF)

つまり氏は、ご本人の活動としては(2)で、しかし著名人だけに批判されたり叩かれたりもすることも織り込んでいて、賛否両論の広がり全体が自分にとって価値を持つものだと考えている、ということのようです。

再び問われるアジェンダの設定能力

(1)の議論をしないというスタンスもひとつの考え方で、文字制限がきつく、また文脈がバラバラになりやすいTwitterでこってりと議論するというのは、確かに困難です。私自身も経験がほとんどありません。

しかし、多くの人が実際そこにいて、かなり気軽に参加できる場であるTwitterをうまく使うことは意義深く、ちょいと考え方を変えて挑戦してみるのもいいのかな、というのが最近の感覚です(といいつつ、まるで腰が入っていませんが)。

すると、そこで大事になるのは、議論をぶらさないためのアジェンダ力、議題設定の技術となるでしょう。「アルファブロガー」という言葉は、近年はもっぱら「有名ブロガー」程度の意味で通りつつありますが、当初はその定義・条件のひとつとして、(ブログ界で多くの議論を喚起する)議題設定効果の高いブロガーである、ということが挙げられていました。Twitterにおいては、それをリアルタイムストリームの中でやるスキルが問われてくるのかなと思います。

以前に見た見事な議論のログを忘れてしまいましたが、最近の有名な議論では、こちらがひとつの好例と言えるでしょうか。

「議論」と呼ばれるものにも口ゲンカに近いものやブレスト的なものなど、いろいろなスタイルのものがありますが、一定の議題を設定し、(Twitterらしく)多くの人の参加を促して、広く意見を交換しながら何らかの結論を出す、てなことを目的とするのであれば、そのための議論のスタンス、スタイルは、ひとつのものが見えてくるように思います。

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