金を積んででも欲しい、気が狂うほど欲しい「自己の重要感」
コミュニケーションに関する本では古典・定番であるD・カーネギーの「人を動かす」を、昨年になってようやく読みました。
「影響力の武器」のような意地の悪い本を読み慣れた後では、若干薄味なようにも感じましたが、それにしても有意義な読書でした。本書の凄いところの1つは、目次をざっと眺めただけで襟を正さねばという気分になってしまうところです。
本書を読んでいると「重要感」という言葉が何度も登場し、印象に残ります。
「重要感」について本書では「フロイトのいう“偉くなりたいという願望”であり、デューイの“重要人物たらんとする欲求”である。」とも説明されますが、褒められたい、感謝されたい、名誉を得たい、といった欲求のことを言っています。また「食欲や睡眠の欲求同様になかなか根強く、しかも、めったに満たされることがないものなのだ」とも書かれています。
重要感を満たすのために大枚をはたく成功者の例や、ついには精神を病んだ例まで紹介されており、中でも興味深かったのが、元ニューヨーク警視総監の言葉として紹介されているこちらです。
「近ごろの青少年犯罪者は、まるで自我の塊りのようなものだ。逮捕後、彼らの最初の要求は、自分を英雄扱いして書き立ててある新聞を見せてくれということだ。自分の写真が、スポーツの名選手、映画やテレビのスター、有名な政治家などの写真といっしょに載っているのをながめていると、電気いすにすわらされる心配などは、はるかかなたへ遠ざかってしまう」。
※なお、「近ごろの青少年犯罪者」とは1930〜1950年代ごろの青少年犯罪者の話のようです
昨今の伊達直人現象(?)なども、こうした「重要感」への希求によってドライブされているのだろうと思います。本書の1-2「重要感を持たせる」では「(すぐ他人に文句を付けるタイプの人は考え方を変えた上で)他者に素直で誠実な評価を与えよ」と説いていますが、一方で自分の重要感を自分自身でいかに満たすか、ということについては、直接は書かれていません。じゃあ他者が感謝する(感謝する以外ない)システムに乗るか、とか……。
ところで「人を動かす」の目次はこちらです。
- 人を動かす三原則
1 盗人にも五分の理を認める
2 重要感を持たせる
3 人の立場に身を置く
人に好かれる六原則
1 誠実な関心を寄せる
2 笑顔を忘れない
3 名前を覚える
4 聞き手にまわる
5 関心のありかを見ぬく
6 心からほめる人を説得する十二原則
1 議論をさける
2 誤りを指摘しない
3 誤りを認める
4 おだやかに話す
5 “イエス”と答えられる問題を選ぶ
6 しやべらせる
7 思いつかせる
8 人の身になる
9 同情を持つ
10 美しい心情に呼びかける
11 演出を考える
12 対抗意識を刺激する人を変える九原則
1 まずほめる
2 遠まわしに注意を与える
3 自分のあやまちを話す
4 命令をしない
5 顔をつぶさない
6 わずかなことでもほめる
7 期待をかける
8 激励する
9 喜んで協力させる幸福な家庭をつくる七原則
l 口やかましくいわない
2 長所を認める
3 あら探しをしない
4 ほめる
5 ささやかな心づくしを怠らない
6 礼儀を守る
7 正しい性の知識を持つ
本書で大変に気に入ったフレーズがもう1つあります。
人を非難するのは、ちょうど天に向かってつばをするようなもので、必ずわが身にかえってくる。人の過ちをただしたり、人をやっつけたりすると、結局、相手は逆にこちらを恨んで、タフトのように、「ああする以外に、方法はなかった」というぐらいが関の山だ
同様のことを戒める慣用句などはいろいろとありますが(「人を呪わば穴二つ」のような)、これはシンプルで、ちょっと不思議に思うほどスッと入ってきました。ちなみにタフトとは、本書で前でセオドア・ルーズベルト大統領に叱責された事例が紹介されている人物です。
- 2011.01.20
- [コミュニケーションの話(ソーシャルメディア、社会の話) | 読書・書評]
- « 前の記事
Pocket WiFi Sのアクロバティックな買い方を聞いてIDEOSと比較してみた - トップ
ページ - 次の記事 »
最も“未来”に近いスマートフォン。日本通信「IDEOS」(BM-SWU300)を購入 - この記事“金を積んででも欲しい、気が狂うほど欲しい「自己の重要感」”の最上部へ



