今に始まったことではない「mixi迷走」の歴史  

ここのところ、新機能を出す→ユーザー猛反発(例:mixi「アクティビティ」機能を13日に再開、“無効”設定が可能に -INTERNET Watch)を繰り返すmixiに、「迷走してる」との指摘が目に付きます。 しかし、いささかひどい言い方になりますが、こういった迷走は今に始まった...

ここのところ、新機能を出す→ユーザー猛反発(例:mixi「アクティビティ」機能を13日に再開、“無効”設定が可能に -INTERNET Watch)を繰り返すmixiに、「迷走してる」との指摘が目に付きます。

しかし、いささかひどい言い方になりますが、こういった迷走は今に始まったことではありません。最初に違和感が表明されだしたのは、2006年の末あたりからでしょうか。こちらは2007年1月の記事。

mixiは昔は本名での登録を推奨していたみたいなんですけど、 今は非推奨になっているわけで(「本名を登録してよいでしょうか?」mixiが注意事項をQ&A形式で紹介)、 その頃からなんか迷走してるなと思ってたんですけど、 こないだのコミュニティジャック対策はどうなんだろうと思いました。
mixi迷走中?

こちらは2008年11月の記事。当時、こうした声はあちこちで聞かれたように記憶しています。

mixiは何がやりたいのか?一貫性がなく、一時の株価保持に踊らされている気がします。 おそらく、モバゲーの台頭や、もはやmixiにクローズの価値はないという状況から、経営的に判断したのだと思うが、ここが「はてな」とちがうところで、結局何がやりたいのか、よくわかりません。
How to monetize Web 2.0(WEBマーケティングを考える) : mixiの迷走は続く!非招待制の狙いは? - livedoor Blog(ブログ)

「日本最大のタイムマシン」としてのmixiは何によって滅びるのか?

mixiは、見ようによっては日本最後にして最大のタイムマシンです。「タイムマシン経営」の考えで言うところの。

タイムマシン経営というのは、ソフトバンクの孫さんがネットバブルの頃に唱えていたキーワード。アメリカの最先端事例をコピーして日本にすぐに持ってくれば、アメリカと日本には数年の時差があるのでそれによってあたかもタイムマシンで未来からサービスを持ってきたかのごとく、サービスを成功させることができるというコンセプトだった。
[jp] もはや、日本でタイムマシン経営を成立させるのは無理か TechCrunch Japanese

一言でタイムマシン経営と言ってもいろいろあるかと思いますが、今のmixiが「ポリシーがない」とか「迷走している」と言われてしまう原因のひとつには、基本的にアメリカで流行ったSNSのコピーだから、運営側にサービスのポリシーとして抜けてる(実は考えてない)ということがあるんじゃないか、という想像もできます。

上記TechCrunchの記事では「このタイムマシン経営による成功パターンは、実はブログやSNSを最後に途絶えつつある」としていますが、継続的な成功が確定しているわけではありません。そして、ネタ元の国からFacebookが日本語化し、進出してきてしまいました。

今後mixiが事業を継続できなくなることがあるとしたら、それは純粋にユーザーが離脱することによるものか、それとも「ネタ元」の進出によるものか、はたまた別の原因によるものになるのでしょうか。

ひたすら数を追い、拡大を続けてきたツケ?

過去のmixiに関するニュースをざっと読み返してみると、ひたすら会員数の拡大を追い、アクティブ率がどうだ滞在時間がどうだという、数字の話に終始している感があります。これは、当初からGREEというライバルと比較されることが多かったこともあるでしょう。また、SNSというサービスの特性として、ユーザー数が多ければ多いほど価値が(ネットワーク効果が)高まる、ということもあります。

しかし、あらためて読んでみると、「数字しか考えてないんじゃない?」とネガティブな感想が湧かなくもありません。特にこのあたりのコメントなど……(上場一周年のひとつ前にあたる四半期での決算報告にて)。

笠原社長は、「PC、モバイルともに機能強化を図り、ユーザーの滞在時間を増やしていきたい。今後も改善・改良を続けていくことや、ドラスティックにPVを上げることができるような新機軸性を持ったサービスを追加していきたい。それによって1人あたりの滞在時間も増やしていきたい」と話す。
ミクシィの第1四半期決算、売上高は21億4,900万で前年同期比143.9%増

漠然としたポリシーでは差別化しにくく、ロイヤルティの高いユーザーも集められないのでは?

実際のところmixiは、単に数字だけを追ってきたポリシーのないサービスではないと思います。笠原社長は、当初から一貫して次のようなことを言い続けてきたと記憶しています。

始める上で、「より多くの人に日常的に使ってもらうコミュニケーションインフラにしたい」と考えていました。
ITmedia News:ミクシィ笠原社長に聞く、上場の狙いとmixiのリスク管理 (1/3)

しかし、これじゃ漠然としていて何も言ってないのに限りなく等しい、という評価もあるかもしれません。上記の言葉を意地悪く解釈すれば「とにかくユーザー数を増やして回遊ページ数や滞在時間を増やせば、広告単価をディスカウントしても総額では大もうけできます!」といったえげつない読み方もできてしまいますし。

ユーザーへの「教育」または、ユーザー・運営者全員での「学習」機会が不足しているのでは?

巨大な組織を維持するのには、おそらく、それなりに教育やら意識共有やらが必要なのだろうと思います。いわゆる「お勉強」ではないしても、自然な活動の中で「こうやればいいのか!」と発見させる、迷っている人に「こういう方法でいいのか!」と理解させるような仕掛けが必要なのではないかと。

おそらくmixiはこのあたり非常に手薄で、ユーザーはもう数年の間、単に「やりたいように」やってきたのだと思います。その状態に慣れきった人々に「アクティビティ付けましたー」じゃあ、その機能の利点を想像して活用できる感度のいい人以外は、単に反発してしまうのも当然のことと言えるかと思います。そういったユーザーと運営者との意識の乖離があるとするなら、そこを学習できていないのも問題でしょう。

このあたり、サイバーエージェントのアメーバブログ/ピグ/なう あたりのほうが、よくできているんじゃないでしょうか。自分のブログを作りましょう→アバターを飾りましょう→芸能人のブログを読みましょう→ぺたを付けましょうアメンバーを増やしましょう→ランクを上げましょう→とか、明確な方向性づけがされ、活動の目標も得やすくなっています。

ポリシーが抜けているのではないか、うまい教育ができれいないのではないか、という感じは、mixi以外にも、わりとハイリテラシーなユーザー向けとして始まったサービスでよく見られるように思います。途中までは自律的に動けるユーザーがいて、その人たちがコアになって他のユーザーも引っ張ってくれるんだけど、彼らの動きが鈍ると全体が方向性を見失ってしまう、というようなことがあるのかなと思います。

そう考えると、やっぱりmixiの運営から「こう使わせたい」というポリシーが感じられないなあ、という印象はあります。どうなんでしょうね……。

ちょっと余談を。一方で、エッジの立ち過ぎたポリシーを持つサービスになっていたとしたら、拡大は鈍って、いわゆるジャンル特化SNSになっていたと思われ、そのあたりのバランスの正解はどこだったのかなと考えると悩ましいところです。

Facebookにどう対応できるのか?

mixiに「日本のSNSとして頑張ってほしい!」というアツい気持ちは特になくて他のサービスが成長する形でもいいのですが、長期的なmixiの行き詰まり感について研究し、対策を考えるというのは、今後の日本発サービスの伸ばし方を考えるにあたって、大いに意味があるのではないかと思います。

Facebookへの対抗、という課題で考えるのであれば、mixiはもっと徹底的に、ドライにやっていくべきなのかなと感じます。おそらく、ユーザーが増えれば増えるほど前述のような教育は困難になる。そちらは進めつつも、もっと徹底的に、ドライにという姿勢が必要なのかなと。その前にポリシーがなかったら整備もできないですが、それはあるとして。

冒頭で取り上げた「アクティビティ」でいえば、もっとシンプルにダッシュボードの各種通知をメールでプッシュするお知らせメールの機能改善だと位置づけて、Facebookばりに細かく項目を設定して、全部オプトインにするけど、この機能が始まってからユーザーが最初にログインしたときだけは設定変更画面に転送するとか……。

やっぱりなんというか、ユーザーに何を提供したいのかというポリシーが伝わらない、どう使って何に役立てればいいのかというストーリーが見えない状態での新機能提供だと、ユーザーとしてもどう受け入れればいいのか分からないし、とりあえず拒絶にもなりますわね。

後はやはり、日本人ユーザーの気質に徹底的に配慮した、外国人には絶対できないようなサービス設計か、それともワールドワイドにさっさと進出してしまうことか。このあたりは深く考察しだすとどこまでも行きそうなので、また改めて。