2010年の自由研究「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である」
いしたにまさきさんの著書「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である」は、氏の2010年夏休みの自由研究ではないか、というのが一読して持った感想です。
本書のアンケートに回答していたので、発売前に献本をいただきました。
最初に110人へのアンケートをそのまんま掲載し、その後の分析では、1段階、2段階と深掘りはしても、最終的に1つの結論にまで追い込むことはしていません。そのへんの、ある意味ではフワッとした感じもちょっと「自由研究」っぽいテイストを感じました。あと執筆期間的にも。
「ウェブ進化論」(2006年2月)で梅田望夫さんが使った言葉に「総表現社会」というものがあります。
今ちょっと本が見つからないので正確な数字がわからなくなってしまったのですが、世にいる100人のうち、5人(だったかな?)ぐらいしか表現にたずさわれないのがこれまでの社会。しかし今後はネットで100人のうち30人(だったかな?)ぐらいが表現するようになるぞ、つまり、「表現」の敷居が下がり、裾野が広がるぞ、という話です。
2005年10月に「アルファブロガー」という本が出版されました。この本は言ってみれば、「総表現社会」で新しく台頭しだした表現者の中の、先頭にいる人たちにインタビューをした本です。
アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから (NT2X) 
そして、「やめない人たち」は、それから5年が経ち、成熟した(かもしれない)総表現社会の表現者の声を集めた本です。「アルファブロガー」に登場するブロガーが11人で、「やめない人たち」ではちょうど10倍となる110人の声が集まっているということには、何か象徴的なものが感じられなくもありません。
110人の声を集めるにあたり、インタビューがアンケートになり、アンケートをそのまま掲載し、あえて分析で煮詰めすぎないという、ディテールを重視した方法が取られたのだと思います。そうきたか!! という感じです。
本書のアンケート回答者には、「アルファブロガー」にも登場したブロガーもいれば、私ぐらいの、たいして「成功」してはいないけど、まったく「成功」していないわけでもないブロガーもいます。
そして、アンケートがそのまんま、一切のディテールを損ねることなく掲載されています「ちょw まさかそのまま掲載www」的なリアクションが他の人たちからもあるようですから、そこにはよそ行きの「表現」でなく、いしたにさんに向けた1to1の「通信」としての言葉も混ざっていると思います。歴史に名を残した超有名人の書簡集ならともかく、現代を生きる一般人によるそんなものをこれだけ覗ける機会は、今後10年ぐらいは……というかもうないかもしれません。
Twitterのようなサービスが浸透し、今後の私たちはおそらく、「通信」だけでなく「表現」をすることを今以上に求められるようになります。その際に、参考になる110人の隣人の声として、本書は貴重な資料集になると思います。
読み手ではなく、書き手による評価を信用する。そして、読み手ではなく書き手による評価を重視するというのは、考えてみれば理にかなっている制度だ。
(中略)
プロのコンテンツメイカーは、これから苦しくなるだろう。しかし、目の肥えた評価者が増えるという解釈が可能ならば、あるいは希望が持てるのではないだろうか。
広告β:一億総表現社会に期待する
そしておそらく、多くの人が良い表現について、自分を何らかの形での「成功」に導く活動について考えながらネットでの活動を続けるということは、世の中を良い方向に変えていくことになるのではないかなと考えています。
- 2010.11.24
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