GoogleのPay Per Post問題で何とも残念に思うこと
先日、たまたま入った喫茶店の近くの席で、マルチ商法の勉強会らしき会合が、たいそう喧しく行われてきた。
聞きたくもないのに聞こえてきた会話によると、商品について(つまりこれから引き込まんとしているマルチについて)説明したところで「それってネズミ講じゃない?」と聞かれたら、勝ったと思っていいそうだ。なぜなら、その相手はマルチについて分かってないから。「それってマルチじゃない?」と言う奴は手強いのだという。
「ネズミ講じゃない?」と聞かれたときにどうするか? まず、そこで言下に否定するのはダメだという。なぜダメなのかの説明は聞こえなかったが、雰囲気が悪くなりその後の話がギクシャクしてしまうだろう。また、滔々と語って聞かせて否定し切ることに成功したとしても、相手は完全に納得できないかもしれない。何となく「やりこめられた」ような感じが残るのではないだろうか。
「ネズミ講じゃない?」への返答として、正解は「そう思うよねー。俺も最初そう思ったんだよね」と共感を示すことだという。そして、「ネズミ講ってどんなもの?」と聞くのだという。
相手は名前を知ってる程度だろうから、うまく説明できずしどろもどろになる。まず相手に知識を吐き出させ、知らないことを認識させた時点で説明を始める。とどめに「ネズミ講っていうのは犯罪で、1977年に禁止になっているからもう無いんだよ」とかやるようだ(いま調べてみたら1978年公布の1979年施行だった→無限連鎖講の防止に関する法律 - Wikipedia)。すると、相手はなるほど違うんだねーという。ここであの決め台詞「そうそう、違うよ。全然違うよ」が出てきてうっかり爆笑しかけたのだが、さておき、ポイントを整理すると、
- 「オマエの商売ってやばいんじゃね?」と指摘がある
- 必死に否定してはいけない。まず共感を示す。相手との対立を避けて同じ立ち位置にいるように演出。心理的な隙を呼び込む
- 小難しい部分については相手に説明させ、その揚げ足を取る側に回ることにより、少ない労力で相手をやり込める
と、いったところか。そうすると質問に対し即座に「違うよ」とやるマーク副社長のアレは、根本的に間違っていたのだなあ。
さて、GoogleのPay Per Post問題について。既に情報は多いので、例えば、こちらあたりで時系列順に流れを追える。
[を] Google がブロガーにお金を払って広告記事を書かかせていたが実はそれは Google のポリシーに反する
ポイントは、Googleの最初の謝罪記事や関連報道、ブログ記事等を受けてと思われるサイバー・バズの反応。
記事には、「CyberBuzz」がペイパーポスト(Pay Per Post)のブログマーケティングであると報じられておりますが、弊社は「CyberBuzz」登録会員ブロガーへの記事掲載に対する対価として金銭の支払いは推奨しない、かつ、サイトの順位やPageRankを上げることを目的とした有料リンクプログラムの提供は行わないというポリシーをもとに運営しております。登録会員ブロガーに対して例外として金銭の提供が発生するケースは、イベントご参加時の「交通費」および、ブログパーツや動画など、一定期間ブログへ掲載する時の「広告掲載費」のみであり、いかなる場合も、金銭の提供によって記事更新の強要や内容の制限、恣意的な掲載依頼を行っておりません。
2009年2月10日付、当社サービス「CyberBuzz」に対する一部報道について - 株式会社サイバー・バズ
言下に「違うよ。全然違うよ」と否定パターンであり、悪手である。「Buzz」って自社サービスの表記おかしいとか、中の人の慌てぶりが感じられてますますひどい。ここは「Pay Per Postってどんなもの?」とGoogleに問う、ぐらいの態度でも良いのではないかと思う。詳しくは後述する。
ま、今回の件で色々言われているようですが、
僕たちとしては粛々と健全に事業を進めていくだけですし、
引き続きがんばります。
当社一部報道に関して|バズ社長の一点突破ブログ
社長のブログにおける発言の頼りなさもなかなかだった。
後日、GoogleはPay Per Postについて少し詳しい記事を出した。
Google ではページの重要度を測定する手段の一つとして、ページ間における自然発生的なリンクを用いています。
しかし、サイトの順位をあげるためにリンクを張ることによって対価が支払われる「有料リンク」は、ページ本来の持っている実力や信用などを覆い隠す恐れがあるため、Google のガイドラインで禁止しております。
先日、自社調査により、過去に行った iGoogle 等のプロモーション活動の一環で、このガイドラインに違反する有料リンクとみなされる行為を私たち自身が行っていたことが判明しました。これは、私たちのプロモーションプランと上記ガイドラインの照合を怠ったことに起因します。その結果として、google.co.jp の PageRank を下げました。
Google Japan Blog: Google.co.jp のページランクを下げた件について
つまり、「有料リンクとみなされる行為」が禁止であるのだそうだ。何その「みなされる」って? 恣意っぽい感じのする言葉だ。やっぱりそこはGoogleに聞いてみるべきなんじゃないの? サイバーエージェントぐらいの企業体力のあるところが......って、CAって、以前にもGoogleにやられてたっけ。
検索エンジンスパムと判定か? サイバーエージェント系のWebサイト、Google検索結果から削除される :: SEM R
個人的な感覚では、「Pay Per Post」の何をして悪と見なすのか、という判断は難しいと思う。中には「この分をコピペしてブログに貼れ」とかいうえげつない業者もあるが、私の知る限り、サイバーバズは実際に経験させたり、商品を与えた上でブロガーの言葉で記事を書かせ、謝礼を支払っていた。確かに「ポストしたら金払う」ではあるのだが、「お前が機械的にポストするたび、俺は機械的にチャリンチャリン支払う。対象についての理解は必要ない」といったニュアンスではない。一時期問題視されていたような悪質なものとは、少々違うのではないだろうか(マーケティング手法として効果的か? というのはまた別の問題としてある)。問題となったiGoogleの案件等がどういうものだったかは知らないが。
じゃあ「現物 Per Post」ならOKなの? 「貸し出し Per Post」はどうなの? 体験会にブロガーを招待して記事が書かれたとして、そのときお車代を出していたらPPPで、交通費は自腹だけど死ぬほど豪華なお土産が出るんなら問題ナシなの?
マルチ商法に習うべし、と言いたいわけでは全くないのだが(そもそも先述のマルチの手法は、頭がある程度弱い相手用だ)、相手のルールにあっさり乗せられ、顔を真っ赤にして否定しているように見えるのが残念に思う。
Google Japanもあえて使用を避けた(のか深い意味はなく使わなかったのか知らないが)「Pay Per Post」という言葉のことは一旦忘れて、どこ悪いんですか教えろやとMatt CuttsにWOMマーケティング協議会が質問を出す、というような展開があっても良いと思う。そうじゃないと、日本のクチコミマーケティング業界全体が、米Googleの顔色を伺いながらやっていかないとダメ、ということにもなりかねないのではなかろうか?
追記。考えてみればSEO業界はずっと前からそうか。ただ、SEOの場合はおどおどと「顔色をうかがう」のではなく、オープンに会話する中からノウハウや適切なルールを生み出していくことをあえてやらず、検索エンジンの裏をかくようなワザや企業独自のノウハウを抱え込み、オープンにしないことで金を得ている、といった印象がある。印象だけだけど。
- 2009.02.19
- [コミュニケーションの話(ソーシャルメディア、社会の話)]
- « 前の記事
ソーシャルなんておまけです。偉い人にはそれが分からんのです - トップ
ページ - 次の記事 »
山本七平「『空気』の研究」読んだ - この記事“GoogleのPay Per Post問題で何とも残念に思うこと”の最上部へ












