番外編:「ギークなお姉さん」に会ってきた
当サイトに設置しているメッセージフォームに、「ギークなお姉さんは好きですか」などで知られるべにぢょさんからのメッセージが届いたのは先週のこと。アルカーナ株式会社に入社しました。よかったら紹介してください、といった内容でした……いや違うか。これだけに縮めてしまうと意味合い違ってしまうので、ちょっと長く紹介します。
以前から当サイトを(特にネットコミュニティ関連の話を)興味深く読んで下さっていていて、ソーシャルネットワーキング.jpなどを手がけてきた原田和英さんの会社に入るとのこと。そして、べにぢょさんのブログ「べにぢょのらぶこーる」は、ギーク云々もさることながら、ネットのコミュニティサービス――mixiやらはてなやらヤン魂からの話で目立ってました。これは要するに、コミュニティサービス関連でこれから面白いことやるから、見とけや! ってことですね?
と、なれば、単に紹介するよりも、ちょっとインタビューさせてください、とお願いして、ちょっと話をしてきました。
まずはこちらを一読のうえ、以下へどうぞ。
→New Generation Chronicle:べにぢょ――ギークプロトコルの解読を試みるサイバーヤンキー - ITmedia エンタープライズ
―はじめ「ヤン魂」にハマったきっかけは何だったんですか?
当時勤めていた会社の社長が始めた、という話を聞いて、社員のみんなで社長がどんなことをやっているのかストーキングしよう、という話になって始めました。会社はわりと小さい会社で、社長ももともと知り合いだったんです。
それが、なぜかハマってしまって……(1日18時間ぐらいやっていたらしい)。社長はじきに飽きてやめちゃったんですけど(笑)。
―ゲームが終了するときに「じゃあ自分がゲームを作る」という発想も凄いですね。
最初は、閉鎖を止めようとして、署名を集めたりしていました。でも閉鎖は止められないってことになって、知り合ったみんなで共有できる場所が欲しくて、誰もやってくれないなら自分で作る! って……。
―他のゲームを探したりは?
しました。でも、どこも空気が違う感じでしたね(小林注:「ヤン魂」の空気は知りませんが、想像するに、ヤンキー物だけに他のオンラインゲームとはだいぶ違いそうです)。
―私も実は同じ頃にCGIのちょっとしたゲームを作っていて、「ヤン魂」閉鎖(2004年)と同じぐらいのタイミングで閉鎖していました。その後、当時の友人とはmixiでやりとりすることが多いですね。
mixiに「ヤン魂」のコミュニティもありますけど、そこで会った人はそれほど多くないですね。でも、当時の友達とは今でも仲がいいです。
―「ヤン魂」でオフ会なんかはあったんですか?
ありました。閉鎖後に、岐阜で。所属していたチームのリーダーが岐阜の人で、わりと関西の人が多かったので、岐阜まで行ったんです。
「オフ会」なんて初めてで、しかも、それまで旅行の趣味もなくて、修学旅行ぐらいしか遠出を経験していなかったのに、そのときはとにかく行動していました。
それで、帰りの電車ではなんだか凄く感激して、ずっと泣いてました。
―集まったメンバーはどんな人たちでした?
「ヤン魂」のプレイヤーは比較的年齢が上の人が多かったです。オフ会には私より若い人から、夫婦で(ゲームに)参加していた人が子連れで来ていたりもしました。
オフ会の最初の待ち合わせはドトールだったんですけど、私はいつも日記に「ドトールのBサンドが好き」って書いていて、その時もBサンドを注文してたんですね。
そうしたら、最初に会った人に「やっぱりいつもBサンドなんだねー」って言われて、その瞬間に、あー! この人は本当にネットのあの人なんだ!! って、何かがビビッと繋がった感じがしました。
困ったことに私の力不足でうまく説明できませんが、ネット関連したことに限らず、ある時期に自分のアンテナがすごく敏感になっていて、そこに人との出会いや諸々のイベントが重なって、人生に大きな影響を与えることが起こることってあると思います。べにぢょさんの強い体験をきちんと理解できていないかもしれないけど、そういう(普通には理解しがたい強い)体験をすることってあるよなあ……と思います。
終了してもう何年も経つというのに、808MBもあるヤン魂がいまだにアンインストールせず残っているし、当時のチャットログからSSから、全て残してあります。
それどころか、たまに起動して涙したりするからね。アタマオカシーヨ><
Re:ヤンキー魂から学ぶネットコミュニティの設計 - べにぢょのらぶこーる
こんなこと、やったことありません。どんだけ大事なのか、私の想像が届く範囲にはないような気がしています。
しかも、昨年「ヤン魂」が1週間限定で復活したときには、「3年前と同じメンバーが同じ場所で同じことをやっていた」そうです。どんだけ愛されていたゲームなんだか、これまたちょっと想像がつきません。
こういうインタビューなどしていて、「インターネットで『いい思い』をする方法」は分かりましたか? という質問を受けました。申し訳ないことに「分かりません」と即答してしまいましたが。
ただ、ネットに限らず、ある時に自分が後先考えずに猛烈に行動したくなって、何かを強烈に動かしてしまうことがあって、それがネット上で行われる場合、リアルの場合よりもより遠く、広くまで影響を及ぼしやすいと感じています。べにぢょさんが小飼弾さんのインタビューをした、ということも、その一例と考えていいと思います。
べにぢょさんは「したいことは言ってた方がいいと思っているんです!」とおっしゃっていました。それにはとても同意します。
でもたぶん(後になって考えるに)、言うだけじゃなくて、空振りしてもめげないとか、妨害されてもへこまないとか、したいことを実現させてくれる人とのコネクションを作る労を惜しまないとか、そういったことも大事で、そういうことをトータルでやるには、けっこうなバイタリティが必要だと思います。
とはいえ、自分がそういった力を持っているかどうかは、やってみないと分からない。だからやっぱり、自分で自分の意志を確認するとか、プレッシャーをかけるとかいった意味合いからも、「したいことは言ってた方がいい」んだろうなと思いました。
で、後半。
―プログラミングは毎日やってますか?
いいえ、毎日はできてないですね。
―間が開くと忘れちゃいますよねー。
そうですね。そういうときは自分のブログ(ギークなお姉さんは好きですか)を読み返して思い出してます。あのブログが一番役に立っているのは、自分ですね(笑)。
―それはとてもブログの使い方として「正しい」と思います(笑)。ところで「ギークと初心者(ライトユーザー)をつなぎたい」というスタンスにとても興味があるんですが、普通だと「ギークになりたい!」となりそうなのに、そうじゃないのが面白いなと。
「ギーク」を理解したいんです。特定の誰か、というんじゃなくて。「ギーク」な人たちの物の考え方とか価値観を、ですね。
「ギーク」の人たちはあまりアピールしなくて、自分たちの考えていることを話してくれないと感じています。
私はインターネットが好きで、好きなサービスの仕組みも知りたいと思うんですけど、技術的な部分が分からないのはもちろん、そもそもの思想が分からないなあ、と思うことが多いんですね。ギークの人たちと会って、彼らがみんな笑っているところで、私はどこが笑う場所だったのか分からなかったり。
―なるほど。そういうことはある気がしますね。「ギーク」に限らず専門的な濃いコミュニティに深くコミットしていくほど、その外になかなか目が届かなくなったり、言葉が伝わらなくなってしまう、みたいな。
今のWebのサービスでは、実際に使っている人(ライトユーザー)と、サービスを作っている人たちの間が分断されているように思うんです。例えばmixiはいわゆるキャズムを越えていますけど、他のサービスはなかなか広まらなかったりしていますよね。
ギークの考え方を理解して、ライトユーザーの感覚も分かって、その間を繋げていきたいです。PHPのプログラムを勉強して、まだまだ全然なんですけど、それでも少しギークの人たちの話している意味が分かってきたのが嬉しいですね。
―それはいいですね。で、アルカーナでそういう仕事をするんですね。
そうです!
私の仕事も、ある面では「ギークと初心者の間をつなぐ」的なことをやっています。そこでいろいろ難しさを感じたりもしているわけですが、べにぢょさんのようなパワーのある人がこれからどんなことをしてくれるのか、というのはとても興味が湧くし期待も高まります。
そして、こうして私も「ギークと初心者(ライトユーザー)をつなぎたい」という彼女の「言ってること」に引っ張られているわけですね、と、これを半分ぐらい書いたところで気づきました。
- 2008.05.19
- [人生の岐路にインターネット]
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