「カンバセーショナル(会話)マーケティング」のアーキテクチャとコスト  

「会話マーケティング」という言葉を最近聞くようになってますが、これについて多少の整理と私見。「対話マーケティング」、としているところもあるけど、それだとダイアログ・マーケティングになっちゃうから微妙にニュアンスが違うんじゃないだろうか。

関連記事のポインタ:

ブロガーともっと会話して欲しいと、ずっと思ってた

StartMacのモニター期間が終わったとき、「モニターとして役に立てたのか不安ですが……」という声が多かった、気がする。

これはモニター皆さんが奥ゆかしいから、という理由だけではなくて、モニターの条件は「ブログに記事10本。内容は自由」ではあっても、実際問題いつものノリでブログに10本記事書いただけで市価25万前後もするMac一式貰っちゃっていいの? というスッキリしない感じが、私以外の人にもあるのだと思う。

たまにアップルジャパンの人がコメント書くとか、メールで「○○について書いてくれてありがとう」とか送るとか、そういうことって大事なんじゃないかなあ。これは簡単そうで意外とコストがかかる難しいことだけども。

ブロガーと「対話」、ないしはそこのブログの読者の皆さんと「会話」するのって、そこのやりとりをまめにやることだと思うんですよね。

StartMac事務局からはモニター終了にあたって「全部読みました」という旨のメールが来た。CyberBuzzもブログに書いて報告すると「読みました」というメールは来るんだけど、「読みました」と書くだけなら5秒もかからない。ていうかコピペで1秒かからない。それだけの反応では、ブロガーは誰しも少なからずがっかりすると思うし、「ああ、何を書いてもこういう反応なんだ」って思ってしまっても仕方ない。

そうじゃなくて「○○について書いてくれてありがとう」とか、「○○に気づいてくれてうれしい」とか、どこかポイントを見つけて一言褒めることで、ブロガーのモチベーションはグイッと上がるしロイヤリティも向上すると思う。ブロガーっていうのはちょっと褒めてるコメントひとつで1日ハッピーに過ごせたりする生物だってことを、企業の担当の方はきちんと認識しているんでしょうか?

問題は、その一言を書くのにはエントリーを熟読して褒めるポイントを探してコメント書いて……といった作業が必要で、その担当者はある程度の国語力や商品知識がないとダメだし、1件あたり最低でも20~30分程度はかかるわけで、そのコストはキツいやね、というところにあるんじゃないかと思いますが。

そこで「掲示板」の見直し、か?

「会話マーケティング」と聞いて真っ先に思い浮かぶ事例は、小林製薬がmixiの公認コミュでマーケティングを行なった「ホットクレンジングジェル」の例だ。もっともリアルタイムで見ていたわけではなく、ニュースサイトの記事で読んだだけですが。

小林製薬は「ホットクレンジングジェル」という製品をmixiのコミュに集まったユーザーに試してもらった。そして、集まった感想から当初に考えていたものとは違う商品のアピールポイントを発見した、という話。

ホットクレンジングジェル | 製品情報 | 小林製薬株式会社

ホットクレンジングジェルは、単なるメイク落とし製品ではなく、肌を温めて毛穴を開かせ、毛穴に入り込んだ化粧品まで落とすという機能的な特徴を持つ。このため小林製薬の社内では当初、キャッチコピーとしては「温かさ」を売りにすべきという声が強かった。

ところが、つる肌委員会を通じて500人にサンプルを配って感想を集めたところ、「温かさ」よりも利用後の「つるつる感」への評価が目立った。「つるつるになって気持ちいい」という声が一番多かったのである。そこで「お肌つるつる」というキャッチコピーにしたのである。

小林製薬、SNSでデザインした新商品がヒット (日経情報ストラテジー発ニュース):NBonline(日経ビジネス オンライン)

ブロガーとブログ上で会話しようとすると、どうしてもOne to Oneにならざるを得ず、対応のコストはかなり高い。「会話マーケティング」を指向する動きの中では、掲示板のように「多人数対モデレーター」という会話がしやすいアーキテクチャを持つコミュニティサイトが注目されていくんじゃないか、という気がする。

もっとも、ブロガーを使う場合においては、StartMacのモニターミーティングとか、AMNのようにオフラインでも交流のある人たちを中心メンバーにするとかのようにオフラインの場で「掲示板」的コミュニケーションを行なう、という手も考えられるか。

おそらく重要なのは「聞く」ことだし、「聞いてます」と表明すること

ここのところ、ブログマーケティングと呼ばれて行なわれている施策の多くは、実態としては単なる「ブログセールスプロモーション」だった。そうじゃなく、ブロガー(やネットユーザー全般)の声を聞いて売り方を考えるとか、商品企画を考えるとかいったところまでやるべし、継続的な会話を行ない、ただ「売ってくれ」以上の関係を作って客と商品と市場を一緒に育てていくべし、というのが「カンバセーショナル・マーケティング」という言葉が出てきた背景なんじゃないかと思う。

で、そうだとすると、企業はこれまでの「ブログマーケティング(実態はブログSP)」チャンネルに加えて、ユーザーの声を聞くためのチャンネルを持つことが大事になる。そして「聞いている」という行為は他者の目からは確認しにくいものだから、「聞いてます、聞きました」と表明していくことも大事になるだろう。

  • 次の記事 »
  • Clip to Evernote
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • « 前の記事