挫折・撤退を繰り返す人生の中で「好きを貫く」には
梅田望夫氏の一連の「好きを貫く」関連エントリーには、ドキッとさせられた。私にとってまさに「今後もやりたいことをやって生きていく(妻子持ちとして)にはどーすれば?」というのがずっと課題としてあったので。
梅田さんのお話には前に書いたのと同種の違和感というか私の問題意識との乖離というか視点の違いというか何というかがあるので、
「何かの専門性」と、「好き」を共有する友達のネットワークと、そこに働きかける「営業力」(My Life Between Silicon Valley and Japan)
このへんなんかは「週末起業」を言い換えただけじゃね? みたいな醒めた感想を抱いちゃったりもする。一方でやっぱり面白いテーマだとも感じているので、ちょっと関連するようなしないような話を書いてみる。
挫折し続ける中で「好きを貫く」
例えば「野球が好き」だとする。たいていは活躍するプロのスター選手に憧れて、自分もああなりたいなあと思って、野球が好きになるんだと思う。そんな少年の中で実際にスター選手になれるのは、何十万人に1人だか何百万人に1人だか分からないけど、おそろしく低い確率でしかない。高校の野球部でレギュラーになれるぐらいまでの野球エリートであったとしても、高校卒業後に野球を続けられるのは、一握りに絞られる。そのとき、ケガで野球が続けられなくなったり、自分の実力の限界を悟ってしまったりした人はどうするのか? どのように次の人生を選択するんだろうか?
おそらく、自分はなぜ野球が好きなのか、これまで続けて来られたのか、と自問自答するんだろう。
最初はスター選手に憧れての物の弾みみたいなきっかけであったとしても、それなりに続けてこられた理由は他にあるはずで、例えば、皆で一緒に汗を流して野球をやるのが好き、みたいな理由が一番だとしたら、じゃあこれからも体を動かす仕事でがんばるぜ! となる。野球チームという組織を眺めたり動かしたりするのが好きだったのであれば、社会でも大きな組織に入ってそれを動かすポジションを目指すのがいいのかもしれない。
ゲームとしての「野球」が大好きだったのなら指導者を目指すとか、野球の周りにあるドラマが好きならスポーツジャーナリストを目指すとか、病気の少年に予告ホームランを打ってあげた、という体験が野球での一番の思い出だなーとか思ったら医療・介護関係を目指すとか。
「好きだったもの」のエッセンスを自分の中でどんどん煎じ詰めていくことで、最後の最後に何かが残って、それを大事にしながら次の生き方を見つけられたら、次の場所でも「やりたいこと」を満足感を持って、がんばることを楽しんで(または少ない辛さで)やっていけるんじゃないかと思う。
「パソコンやインターネットが好き」な人の場合、最も分かりやすい目指す路線はプログラマーだと思うけど、そこに適性がない人もいる。じゃあもうダメかというと、他にも販売店とかインストラクターとかメディアの記者とか、周辺の職業がいろいろあって、皆いろんなことをしていて、似たようなもんに見えても、心の中での使う場所とか、心の中のやりがいの落ちてくる場所ってのはけっこう違っていて、自分はどのへんを使ってどのへんにやりがいを求めるといいかっていうのを探すのはけっこう難しいんだなあというのが、モヤモヤと最近感じていることだった。
「好きを貫く」と「叱らない育児」
「叱らない育児」という言葉があって、これは、ごく簡単に言うと「子どもの成長過程においては、大人から見ると愚かしかったり非効率だったりする行動を取ることもあるけども、それを大人の価値観で叱る(叱ろうとすると、どうしても感情的になって怒ってしまいがち)のでなく、必要な場面ではきちんと注意をして諭しながら、子どもが自分で気づき、成長していくのを見守ってあげましょう」みたいな考えなんだけど、世の中には、子どもを注意も何もせず放任し、他人が見かねて注意すると「うちは叱らない育児なんです!」とキレる親もいるんだとか。それは単に「叱らない」だけなわけですが。「好きを貫く」も「叱らない育児」も、従来の固定観念(生きていく上では嫌いなこともやらないといけない、叱らないと子どもは分からない)を覆すキャッチーな言葉なんだけど、その言葉の上っ面だけを捉えると、とんでもない勘違いをしてしまう。そして、やらない言い訳に使えてしまうのが怖い。周りに「俺は好きを貫いてんだよ」とか言ってるのなら分かりやすい分まだマシかもしれなくて、自分の心への言い訳に使い出すようになると危険だと思う。
こういうキーワードが気になったら、まずは提唱者の著書を1、2冊読んでみるのがいいと思います。
「叱らない育児」なら平井信義氏(ご本人がこの言葉をそのまま言っているのかは、実は知らない。周辺の人が広めているだけかも)。1冊しか読んだことないけど、特に極端な内容でなく、うーんPHP研究所って感じの本だった。
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