客筋のいい人  

以前に行っていた飲み屋の姐さんに、すごく客筋のいい人がいて、ちょっと憧れていた。最初は何も気づかなかったが、しばらく観察していると、その人の周りだけちょっと空気が違う感じがした。あ、いい人だなーと思った客はたいていその姐さん目当てっぽかった。聞くところでは、それなりに有名な文化人が来ることもあるようだった。


キャバクラのようなお姐ちゃんメインの店には行ったことがないし、水商売の世界をよく知らない中での想像だが、ああいう商売にとっては、継続的に金を落としてくれる常連客が一番の財産。そして、その常連客をキープしておく手段は様々で、最も簡単なのは、とりあえず「お友達」になっちゃうことなんだと思う。

「お友達」になっちゃうのにたいしたスキルはいらないだろうし、若い女性とお友達ノリで話せる機会は、おっさんにとって大きな喜びである、というのはよく分かるようになってきた気がする。

しかし、これはけっこう、簡単に言って、キモい。いい年こいたおっさんのはしゃいでる姿がキモいし、このねーちゃんは仕事中にそのノリかよ、という感じなのも個人的にはいただけない。また、お友達ノリの輪はどうしても排他的になりがちで、単純にその外にいるとついていけない感じになってしまう、ということもある。


で、その姐さんは、そういうことをしないのである。そして客筋がすごくいい。

私が観察した範囲では、以下のようなところが、客筋を良くすることに繋がっているのだと思う。

・仕事はしっかりできる(筋のいい客にちゃんと評価される)
・客の顔と名前をよく覚えている
・言葉遣いがいい(客にはちゃんと敬語)
・客のいいところを何かしら見つけて褒める
・さりげなくサービスがいい
・立ち姿がカッコいい
・教養を楽しめる(嫌がらない。嫌味がない)
・目標が高い
・客が少ないときにはいつもより親しげ。増えてくると皆に平等
・枯れきった感じの爺さんに優しい

個人的には後ろの2つ、特に「枯れきった感じの爺さんに優しい」がポイント高かった。なんでだろう? 脂ぎったおっさんがデレデレしているのはキモいが、若いお姐さんに優しくされて70ぐらいの爺さんがにっこりしている顔を見ると、なんか安らぐのだ。自分もいずれそうなるから?

こんなのは銀座あたりでは常識なんじゃないかという気もしてきた。

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