RSSがもたらす既存ビジネスモデルの破壊と、その先にあるもの
「ネットは新聞を殺すのかblog」で、RSSとWebサイトのビジネスモデルの話が出ていた。先に書いたものはいささか走り書きの感があったので、もういちどまとめておきたい。
わたしはRSSリーダーを使い出してから、ニュースサイトにトップページから入ることがなくなった。ニュースサイトやコンテンツサイトがどのような造り、構成になっているのか、もはや知らない。そうしたサイトとの接点は、1つひとつの記事でしかなくなった。
つまりニュースサイトにとってパッケージの仕方よりも、コンテンツそのものがより重要になる、ということだ。そうなったときにビジネスモデルをどうすればいいのか。編集方針をどうすればいいのか・・・。
RSSリーダーの勧め(ネットは新聞を殺すのかblog)
RSSによってトップページのビューが減る
現在、ある程度大きなWebサイトのほとんどは、トップページが最大のページビューを持ち、高い料金を取って広告を入れることでビジネスを成立させている。RSSを配信すると、まさに「RSSリーダーを使い出してから、ニュースサイトにトップページから入ることがなくなった
」という人が増えてしまうので、RSSの配信に踏み切れな、という方がいる。
試算を見たことはないが、まだ今は[RSSを配信しないことでユーザーが離れていくリスク]<[RSSを配信することでトップページが見てもらえないリスク]という状態にあるらしい。
「RSSとは何ぞや」という話をした直後に寄せられる質問・意見の多くは「フィードを配信することで自社のサイトへのトラフィックが減ってしまう」というもの。(サイトの閲覧がフィードで完結してしまうことにより)トラフィックが減ってしまい、広告収益などが減ってしまうなどなど。そのためフィード配信には消極的にならざるを得ないという話。
RSSフィードはウェブ広告にとって善か悪か(NDO::Weblog)
こちらの「フィード内で完結する」ということはリアルユーザー(自分)の感覚としてほとんど無いことで、その心配は不要な気がする。「RSS」なんだからサマリー(概要)を配信すればよくて、全文を配信し始めたらまたちょっと話が変わってくるけど。ここで寄せられる質問も、分析していけば前述のものと同じことだと思う。
RSS(リーダー)の普及によってトップページのビューが減るという話は、国道脇に高速道路ができて、国道沿いの食堂が潰れてしまうという話のようで、峠道に連なる廃墟の光景が何となく思い浮かんで懐かしい。懐かしんでいる場合じゃないか。
解決法のひとつは高速道路沿いに支店を出すことで、RSSに広告を混ぜたり、RSSリーダーの中に広告枠を設けたりといったことが考えられるんだろうな、と思う。
ちなみに、「峠の釜飯」でおなじみ横川の釜飯屋なんかは、新幹線の開通で信越線が無くなっても、横川駅にむりやり観光スポットを作ったりして頑張っている。例えばトップページに面白いコラムを置いて、それのRSSも配信すれば、トップページのビューはある程度維持できるだろう。INTERNET Watchの「やじうまWatch」なんかは、まさにこんな感じで使えそうだ。
サイトにアクセスする動機が変わる
「RSSリーダーを使い出してから、ニュースサイトにトップページから入ることがなくなった」という人が増える、という現象を換言すれば、「RSSによって、ユーザーのアクセス動機が変わる」ということになるだろう。「ペット情報のサイトだから」ぐらいの漠然とした動機ではなく、「『子犬のトイレのしつけ方 第2回』を読みたいから」ぐらいに欲するコンテキストが明確化され、それを読みにくる。
だとすれば、広告の出し方もそれに合わせて考えるべきだ。
うちのトップページは○万ビューなので○万円下さい、というようなマスマーケティングというか大雑把な広告は、ビュー数が多いぶんだけ高価で、そして効率はよくない。より安くて効率のいい広告として、既にコンテンツ(キーワード)マッチ広告(AdSense)などが存在しているし、事実、こちらの方が安い。マス的なバナー広告の「クリックされなくても露出する、目に止まる」という効果を無視して考えれば、効率もいいだろう。
たどり着く先は「コンテキストマッチ広告」
キーワードマッチのさらに先を考えれば、単純なキーワードマッチではなくコンテキストを読み、ユーザーの心理の先にあるものをポンと置いておく、コンテキストマッチ広告が最も有効だろう。メディアとしてそれをどう売るかを考えると、導入するコンテキストの作成から最後の広告までを一括で作る、企画広告的なものになると思う(作業量や費用的なコスト対効果を考えれば、ほとんどコストのかからないキーワードマッチ広告は非常に効率がよく、長く生き残りそうだ)。ずいぶん昔の記事だが、ちょうどいいことを言っているので引用しておく。
何よりもユーザーの『興味』をより深く知る必要がある。そして、その興味の脈絡を先読みし、それに応えるソリューションをサイトに持たせるコンテキスト・マーケティングの視点が必要だ」
NIKKEI DESIGN | Strategic Web Design 2001 「企業サイトのユーザビリティー戦略とその徹底」
RSSリーダーを勧める理由が他にある。それはこうしたRSSリーダーの仕組みがいずれすべてのメールソフトやブラウザ(もちろんマイクロソフトのも含む)に搭載されることが、ほぼ確実だからだ。
RSSリーダーの勧め(ネットは新聞を殺すのかblog)
という数年後の未来が見えている中、今は[RSSを配信しないことでユーザーが離れていくリスク]<[RSSを配信することでトップページが見てもらえないリスク]だから現状維持というのは、端的にいってヤバい。
何とかなっているうちに新しいビジネススキームを作っておかないと、気づいた頃には廃墟になっていて、懐古主義者が時々訪れるだけ、なんて状況になってしまうのではないかと、心配である。
- 2005.01.26
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